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院長日記

NMNがはたらくミトコンドリア その3:ミトコンドリア糖尿病

武本 重毅

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ミトコンドリアは真核細胞が持つ細胞内小器官(オルガネラ)で

細胞内のエネルギー産生に中心的役割を担っています。

ミトコンドリアは核内のDNAとは別に

独自のDNA(ミトコンドリアDNA)をもちます。

このミトコンドリアDNAの変異によって発症する糖尿病を

ミトコンドリア糖尿病と呼びます。

 

ミトコンドリア糖尿病患者は

わが国の糖尿病患者の約1%に存在するとされ

単一遺伝子による糖尿病としては最多です。

 

ミトコンドリアDNA

後天的な変異(体細胞変)を起こしやすい特徴を持っていますので

老化と共に変異が蓄積

ミトコンドリア機能に障害を及ぼす可能性もあります。

ミトコンドリアは16,569塩基対からなる独自のDNAを持っています。

このミトコンドリアDNAに変異があり

膵β細胞の機能が十分維持できなくなり

インスリン分泌能が低下すると

糖尿病を発症します。

ミトコンドリアDNAは母親からのみ遺伝します。

このため

母親がミトコンドリア糖尿病であった場合

その子供もなる可能性があります。

 

症状としては

高率に感音性難聴を伴うのが特徴です(約90%)。

ミトコンドリア心筋症心刺激伝導障害

ミトコンドリア脳筋症の症状も

他の糖尿病型よりも高率に認めます。

また、他の糖尿病と比較して

神経障害網膜症腎症といった

細小血管合併症が進行しやすい特徴があります。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。