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院長日記

骨髄移植、末梢血幹細胞移植、そして臍帯血移植

武本 重毅

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わたしは

社団法人日本血液学会認定血液専門医として

そして以前は

財団法人骨髄移植推進財団調整医師として

造血幹細胞移植に携わってきました。

 

当時の国立病院機構熊本医療センターは

日本でも有数の造血幹細胞移植施設であり

骨髄移植

末梢血幹細胞移植

臍帯血移植

骨髄バンクドナーからの骨髄採取

などを

わたし自身も担当し

盛んにおこなっていました。

骨髄を移植する場合は

造血多能性幹細胞間質細胞を含む

造血に必要な成分のほとんどを

そのまま採取・移植できますので

最も信頼できる方法といえます。

 

それに比べ

末梢血幹細胞移植

G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)というサイトカインを用いて

骨髄から末梢血中に無理矢理

あふれ出てきた造血幹細胞を集めて移植するので

骨髄という環境に存在している細胞やサイトカインなど液性因子の

組成とは異なる成分を移植することになります。

実際に

提供者の免疫学的な末梢組織における免疫寛容状態を反映した細胞や液性因子は

患者の末梢組織での免疫寛容状態を反映していないので

移植後の免疫反応である慢性GVHD(移植片対宿主病)がおこりやすくなると考えられます。

 

さらに

臍帯血移植となると

まだ

免疫学的には未熟で

自己非自己の区別もつかないような状態の細胞を移植することになりますので

骨髄移植末梢血幹細胞移植のように

MHC(主要組織適合遺伝子複合体)

つまり私たち人間における

ヒト白血球抗原(HLA)

一致させなくても移植は成功します。

しかしながら

その未熟な細胞が

患者骨髄に生着して造血を始めるようになるまで

時間がかかるので

無菌室での生活が長くなり

感染症予防や造血のサポートに

苦労するのも事実です。

そして

移植する細胞数が本当に少ないんです。

ちなみに

わたしは熊本で初めて

新生児2人分の臍帯血

一人の患者さん(非常に体格のよい男性)に移植して

成功させた移植医でした。

 

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。