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院長日記

まず脂肪幹細胞培養上清の方を選んだ理由その3

武本 重毅

 

私たちが注目している

間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC)とは

間葉に由来する体性幹細胞のひとつです。

骨髄中で間質細胞を形成し

造血細胞の増殖や分化を支持する微小環境を形成するため

mesenchymal stromal cellとよばれることもあります。

わたしは上肢や下肢の血流が途絶えた虚血疾患を

自家骨髄を利用して治そうという

再生医療に携わっていたことがあります。

MSC

自身が分化・増殖するだけでなく

各種成長因子を分泌することで

障害部位において臓器構成細胞の増殖と分化を誘導

臓器機能修復をおこないます。

さらに

MSC

免疫細胞による自己への攻撃を回避するため

さまざまな免疫抑制・免疫制御因子を分泌しています。

このMSCによる免疫制御機構

生理的状況下においては

免疫寛容部位の形成に寄与

炎症環境下においては

炎症を改善することに寄与します。

脂肪

MSCのソースとして非常に重要であり

骨髄と比較して

100~1,000倍多くのMSCを含有します。

また

細胞の機能としても

骨髄由来のMSCと比較して

成長因子である

HGF(肝細胞成長因子)

VEGF(血管内皮細胞成長因子)

を多く分泌するため

再生能力が高く

多くの免疫調整因子を分泌するため

免疫制御機能が高いことが知られています。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。