血液透析治療を受けながらゴルフを楽しむことができるほど回復した理由
慢性腎臓病(CKD)は
日本では成人の8人に1人が発症し
心臓病や脳卒中につながる疾患ですが
これまで特効薬は開発されておらず
病態が進行すると
現在、血液透析などの「腎代替療法」が必要です。
昨年9月に
血液透析中のご高齢者が
ともかく歩くのも「きつい」と言って
久しぶりに私たちのクリニックを受診していただきました。
慢性腎臓病は
健康診断で指摘されても自覚症状がほとんどなく
ひどくなると腎臓が働かなくなり
血液透析や腎移植が必要になります。
そして慢性腎臓病にかかると
心臓や血管の病気をおこす危険が高くなるといわれています。
それどころか
血液透析が必要になった人よりも
血液透析が必要になる前に心臓血管病で死亡する人の方が多いことがわかってきました。
なぜ、慢性腎臓病になると心臓血管病をおこす危険が高くなるのでしょうか。
慢性腎臓病では
活性酸素種(ROS)の産生が亢進し
抗酸化作用の低下が認められ
慢性的な「酸化ストレス」亢進状態となっています。
腎臓が障害を受けると発生する「酸化ストレス」が
腎臓病を悪化させ
慢性腎臓病の発症・進行につながっているのです。
この活性酸素種は動脈を傷つけることがわかっており
知らず知らずのうちに
大事な血管が傷ついてしまったり
心臓の働きが悪くなったりするのです。
そこで私たちのクリニックでは
このご高齢者に
水素ガス吸入療法と
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)点滴療法を
開始しました。
水素は活性酸素種を減弱させ
酸化ストレス耐性を上昇させます。
NMNは修復酵素であるサーチュインを活性化し
血管内皮細胞を再生し
酸化ストレスによる血管不全を解消します。
また
水素は虚血再灌流時の障害から細胞を保護し
NMNは同じように心臓を保護します。
そして
それぞれがミトコンドリアの機能回復にはたらきます。
このようにして
治療を始めて1ヵ月後には
ゴルフで18ホールを楽しんでラウンドすることができるように回復したのでした。
もちろん
その後も毎週のように
私たちのクリニックに足を運んでいただいて
水素ガス吸入療法プラスNMN点滴治療を続けております。
また
週1回のゴルフを続けておられ
このように透析患者さんが
ゴルフのような長期にわたる適度な運動療法を実施することは
全身の酸化ストレスを改善し
身体機能や運動耐容能の維持・改善につながると考えられています。
今回の私たち聚楽内科クリニックでの治療成果は
慢性腎臓病の発症・進行を抑えるための
新たな治療法の開発につながることが期待されました。