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院長日記

軽度認知障害(MCI)かもしれないと思ったら その2:アポリポタンパク質

武本 重毅

認知症の人の数の急増は大きな社会問題となっています。

認知症の原因疾患として過半数を占めるアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)の発症には

生活習慣(食事や運動など)

それに関連する生活習慣病(糖尿病や高血圧など)などの環境因子遺伝的因子

の両者が関与すると考えられています。

 

 

アポリポタンパクE (アポE)

リポタンパク質と結合して脂質の代謝に関与するタンパク質です。

アポEには遺伝子によって決まる3つのタイプ(E2, E3, E4)があり

E4を有していることはアルツハイマー病の危険因子であることが確立しています。

日本人においては

アポE E4の保有(E3/E4)は

非保有者(E3/E3)に比べてアルツハイマー病発症のリスクが約3.9倍になることが報告されています(図1)。

またアポE E4保有

特に女性において強力なアルツハイマー病発症の危険因子であることが知られています(図2)。

 

アルツハイマー病の強力な遺伝的危険因子であるアポE E4保有者において

認知機能低下リスクを軽減する方法は現在確立していません。

最近の金沢大学附属病院神経内科の研究により

これらのリスクは

ビタミンC

ビタミンE

の血中濃度を上昇させることで

予防できるのではないかと考えられるようになりました。

アポE E4保有女性において

ビタミンCが認知機能低下リスクを軽減することが示唆されたことは

社会的にも大きなインパクトがあります。

またビタミンEに関しては

先行研究と類似した結果であり

アポE E4非保有男性におけるビタミンE摂取の認知機能低下抑制効果が裏付けられました。

 

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。