水素吸入療法が院外心停止患者の救命および予後の改善に効果
私たちのクリニックでは
NMN(ニコチナミドモノヌクレオチド)点滴
ヒト間葉系幹細胞培養上清(エクソソーム)点滴
水素ガス吸入
という3種類の治療法(3本の矢)を組み合わせて
抗老化(アンチエイジング)治療をおこなっています。
先日かかりつけの患者さまから
「水素はガス吸入と水素水を飲むのとでは、どちらが良いの?」
と質問されました。
わたし自身の経験から
「水素ガス吸入の効果がある」
と答えました。
水素水を愛飲しておられる方もいらっしゃいますので
その効果について否定するものではありません。
ただ、「水素ガス吸入療法」は確かに効果があるのです。
以前の院長日記(2023年2月26日27日)で書きましたように
水素は
活性酸素種の中でも最も酸化力の強いヒドロキシルラジカルを選択的に消去できます。
水素が炎症を抑制するメカニズムは
ミトコンドリアの酸化抑制に基づいていることがいくつかの文献で示されています。
水素はミトコンドリアの中に入り
ヒドロキシルラジカルを消去できる唯一の物質ですので
水素でしか
慢性炎症疾患や慢性炎症に関連する多くの疾患を治すことができません。
そして実際の臨床の場で
心停止した患者の蘇生後に2%の水素ガスを吸入させることで
特に脳機能の回復が期待できるようになりました。
これは
脳の虚血ー再灌流時に生成する活性酸素種を水素によって除去することで
脳組織のダメージを極力抑え
脳機能の回復につなげようとするものです。
水素吸入療法が院外心停止患者の救命および予後の改善に効果-全国の救急医療機関で実施した臨床試験結果報告-
心臓のトラブルなどで突然、心停止に陥った場合、ただちに心肺蘇生を行えば心臓の拍動が回復して救命されることは少なくありません。しかし、脳をはじめとした全身の臓器は心臓が停止して血液が巡らなかったために、大きなダメージを受けます。そのため、意識が回復しないまま死亡したり、重い後遺症が残ったりするのが実情です。現在は体温管理療法が行われますが、その効果はいまだ定まっていません。
東京歯科大学の鈴木昌教授と慶應義塾大学医学部救急医学教室の本間康一郎専任講師、同内科学教室(循環器)の佐野元昭准教授らは、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート水素ガス治療開発センターの活動のなかで、国内15施設が参加した多施設共同二重盲検無作為化比較試験を行い、病院外で心停止になり心肺蘇生で心臓の拍動は回復したものの意識が回復しない状態で2%水素添加酸素吸入(水素吸入療法)を行うと、死亡率が下がり、意識が回復して後遺症を残さずに社会復帰する可能性を高めることを示しました。
ちなみに
私たちのクリニックで提供している
水素ガス吸入療法では
短時間ですが
最大で約4%の水素を加えた酸素を吸っていただいています。
(ただし、呼吸能力や呼吸方法により変動がみられます)