コロナ夏の「かくれ脱水」・熱中症対策
最近体調不良を訴える高齢者が多くなりました。
湿度が高い梅雨の時期は、自分の脱水傾向に気づかない人が多いようです。
身体のサインを見逃さず、「かくれ脱水」、ひいては熱中症を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。
済生会横浜市東部病院患者支援センター長で「かくれ脱水」委員会副委員長の谷口英喜先生の記事を読んで参考になりますので
そのままご紹介します(パクることにしました)。
かくれ脱水とは?
この夏は例年に比べて暑くなるという予報です。加えてコロナ禍による外出自粛もあり、いわゆる「ならし期間」がなく夏に突入することで、身体の適応力が追いつかないまま酷暑にさらされる危険性が高まっています。そんな中の梅雨入りですが、この時期こそ「かくれ脱水」になりやすいのです。
私たちの身体は、体重の約60%相当が水分と塩分(電解質)が混ざった体液からできています。「かくれ脱水」とは、脱水症の一歩手前で、身体に必要な体液(水分)が減っている状態。そこに「暑さ」が加わると熱中症になります。特にこの時期は湿度が高いため、汗がうまく蒸発しません。それで脱水症(熱中症の初期症状)になりやすい傾向があります。
かくれ脱水・熱中症が起きやすいシーンは?
ではなぜ外出自粛やマスクの着用が熱中症に影響するのでしょうか。それはいつもなら徐々に身体を暑さに慣らしていく「暑熱馴化(しょねつじゅんか)」を行なう時期に、家にこもっていたから。汗をかいて体温を調節する機能がなまっているのです。さらに活動量の低下で、本来は水分を蓄えてくれる筋肉量も減っており、どうしても脱水傾向になります。
また、常時マスクをつけていると、口元が湿ってのどが渇きにくく、のどが渇いている感覚(口渇感)も鈍ります。そのため、いつもより水分をとらない人が多くみられます。熱がこもり、呼吸しづらいなど、身体に負担もかかります。
かくれ脱水になりやすいのは、以下のようなケースです。
室内でエアコンをつけている場合でも、特に朝方は半日ぐらい水分をとっていない状態なので、どんな人でもかくれ脱水になります。また利尿作用の高いアルコールを飲んだ後は、アルコールの分解にも水を使うため脱水気味。水分が不足すると血液の流れが悪くなり、脳の血流が減るため、意識がもうろうとしたり、集中力も低下するなど危険です。
子ども、高齢者、持病がある人は特に注意を
■どんな人が危険?
特別に注意を払いたいのは、まず小さい子どもと高齢者、そして持病がある人たちです。
特に子どもは、成長過程において摂取したエネルギーを代謝して、身体をつくるために大量の水分を使うので、常に水分に満たされている必要があります。そのため子どもは、常に水分を補給しなければなりません。ところが、小さな子どもはのどが渇いても表現したり、感じとることもできにくい。だから大人が気づいてあげる必要があります。
高齢者は、加齢によって脳の「口渇中枢」が衰えて口渇感が鈍っているほか、気温や湿度などの環境を認識できなかったり、発汗機能も衰えているなど、自分では脱水に気づきにくい。
糖尿病、動脈硬化、高血圧や心不全で利尿薬を飲んでいる人なども、重症化しやすい傾向があります。これらの方々は共通して水分保持力が落ちています。例えば動脈硬化や糖尿病があると、老廃物を体外に出す腎臓の機能が低下して水分や電解質が失われる、血糖値が高いと身体の中の水分が少なくなって血液がドロドロになるなど、慢性的に水分不足の状態です。また利尿薬は脱水を促す薬なので、これらの薬を服用している人は、やはり慢性的な脱水症です。
■セルフケアのポイント
同居者などがいる場合は気づいてあげることもできますが、一人暮らしの場合は、下記を目安にこまめに水分補給しましょう。
・1日1.2~1.5リットルを6~8回ぐらいに分けてとる
・薬と同様に「水分補給の時間」を決めて飲む
・持病がある人は、あらかじめ主治医に注意点を尋ねておく
一方、子どもたちは大人よりも体液が多く(70~80%)、しかも1歳刻みで必要量が違うので、あまり水分の摂取を制限せず、その子に応じた量を好きなだけ(飲んで満足するまで)飲ませてあげましょう。