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院長日記

若い女子が注意すべき必須ミネラル欠乏症

武本 重毅

最近の暑さですが、今年は特に暑いようですね。

さらに物価高が私たちの生活を襲い、食費や電気代の高騰が、特に若い世代の生活に我慢を強いているようです。

必須ミネラルはビタミンと同様にごく微量に身体に存在する、「身体の調整に欠かすことのできない栄養素」です。 そしてこの夏、皆さんが注意すべき貧血が2つあります。鉄欠乏性貧血亜鉛欠乏症です。

まず微量ミネラルの中で、特に女性が気を付けてほしいのがです。月経で血液が失われてしまうため、貧血につながりやすくなります。しかも鉄分は、汗をかくことでも失われるため、たくさん汗をかく暑い季節は、特に注意が必要です。

学校生活での部活動マラソンなど激しい運動により、大量の発汗でもっと鉄分が流れ出てしまいます。また、マラソンなど長距離走る競技は、足の裏で赤血球が破壊される「ランナー貧血」の原因になります。足裏への強い衝撃で赤血球が壊れ、飛び出たヘモグロビンが、尿などから体外に出てしまうからです。

したがってスポーツをしている人は、水分・塩分の補給だけでなく、鉄分の補給も重要です。大量に汗をかいて鉄分を喪失してしまうだけでなく、体の中で鉄分を貯蔵する役目である筋肉量が増えることによって、体が必要とする鉄分も多くなるからです。

次に亜鉛は健康維持に欠かすことのできない必須ミネラルの1つです。微量ながら大変重要な栄養素で、体内で少なくとも300種以上の酵素の構成成分となり、遺伝情報を担うDNAやRNAの合成、タンパク質の合成など様々な代謝活動をサポートしています。しかし、吸収率は10~30%ほどとあまり高くなく、カルシウムと並んで日本人に最も不足しやすい栄養素の1つとされています。

亜鉛が不足すると、たんぱく質やDNAの合成がうまく行えなくなるため、貧血食欲不振味覚障害皮膚炎生殖機能の低下慢性下痢脱毛免疫力低下低アルブミン血症神経感覚障害認知機能障害などのさまざまな症状が現れます。

近年、若い世代での、食生活の乱れによる亜鉛欠乏が増えているようです。その理由として、加工食品の摂りすぎによる、亜鉛の吸収を邪魔する食品添加物の摂取が考えられます。インスタントラーメンに多く含まれるリン酸塩化学調味料であるグルタミン酸ナトリウムなどを摂り過ぎると亜鉛不足を引き起こします。また、菜食主義極端なダイエット亜鉛不足の原因となりますので、特定の食品に偏った食事をしないよう注意が必要です。そのほか、アルコールの摂取により、亜鉛の排出量が増加します。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。