終末糖化産物(AGE)とは:その測定値と活用方法
身体に影響をおよぼすのは「酸化」と「糖化」の2大因子です。
「糖化」はまだ聞きなれない方が多いかもしれません。「糖化」とは、体内で過剰になった糖がタンパク質にくっつく現象です。この高濃度の糖にまみれた状態が長年続くと、タンパク質は徐々に変性していきます。この形が変わってしまったタンパク質のなれの果ては、終末糖化産物(AGE)と呼ばれています。
タンパク質はAGE化を受けることで、その働きが悪くなります。さらに、AGEは、細胞や臓器に炎症を起こす原因物質であることがわかってきました。慢性炎症は、食事や喫煙、肥満、高血糖など、さまざまな危険因子で引き起こされますが、その主な原因となっているのが、活性酸素とAGEです。この二つが老化を進めていきます。
また、AGEは、酸化ストレスや高血糖により内因性に産生されるだけでなく、外因性に食品中や喫煙からも摂取され、食事、たばこに由来するAGEのうち約7%がある程度の期間、生体内に残存することが明らかになりました。
私たちのクリニックでは、AGE Readerを用いて、非侵襲的に皮膚の自家蛍光(skin autofluoresence: SAF)値を定量することにより、AGEの生体内蓄積量を推定することを始めました。
日本人の住民調査から、SAF値から推定されるAGE量の蓄積が、年齢とは独立して、生活習慣の歪み(喫煙、運動不足、精神的ストレス、睡眠不足、大量飲酒、朝食抜き、甘い物、揚げ物、加工食品を多く摂るなど)によって亢進することが明らかにされています。
したがいまして、SAF値を定量しAGE量を推定することで、糖化年齢という形で老化の進み具合を判定し、食事指導に役立ててまいります。