残暑が続く今注意すべきは血栓症
今年の夏は猛暑でした。そして新型コロナウィルス感染症の波も相変わらず襲ってきました。
もう10月になろうとしているのに、暑い日が続いています。
そのような状況下、最近周りでよく見聞きしているのが
脳梗塞を発症した、あるいは深部静脈血栓症を発症したという患者さんたちのことです。
脳梗塞や血栓症というと、冬の寒さが原因と考えがちですが、
実は夏の暑さによる脱水が大きな原因となっているのです。
国立循環器病研究センター広報によれば、脳卒中には、脳の血管が破れる「脳出血」と、脳の血管が詰まる「脳梗塞」があり、「脳卒中は冬に多い」と思われていますが、脳梗塞に限るとむしろ夏の発生数が多くなっているので注意が必要とのことです。
夏に脳梗塞が起こりやすい理由としてあげられるのが、脱水による体内の水分不足です。特に日本人に多いラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞は、脱水との関係が比較的強いと考えられています。
夏には汗を多くかくため、それに見合った量の水分を補給していないと、体が脱水症状に陥って、血流が悪くなったり、血栓ができやすくなったりします。
暑い夏は、就寝中に脱水が起こりやすく、また夜間に血圧が下がり、血流が滞って血管が詰まりやすくなります。飲酒は尿量を増加させ脱水の原因になります。これらが重なると夜間に脳梗塞が発症しやすくなります。
もちろん脱水症状は炎天下での仕事やスポーツ、レジャーや野外活動をしているときなどによく発生します。活動に没頭するあまりに症状の進行に気がつかず、そのまま熱中症を引き起こして倒れることもありますので、注意が必要です。
しかし脱水は日常の暮らしにおいても普通に起こりうるものです。たとえば、入浴中や睡眠中においても脱水は起こりますし、飲酒や病気(下痢や発熱など)でも、場合によっては脱水が引き起こされてしまうのです。
特に気をつけたいケースとしては、冷房や暖房がきいた部屋での長時間の滞在です。この場合、本人が脱水に陥っていることに気づけないことが多いようです。在宅勤務や自宅療養など、コロナ禍においては、特に気をつけなければなりません。