Director's blog
院長日記

私たちのクリニックではSGLT2阻害薬による「老化細胞」除去をはじめています

「老化細胞」を薬で取り除く臨床研究 順天堂大など学内申請へ

今朝のNHKニュースを見ておりましたら、この報道が目を引きました。

順天堂大学の南野徹教授らのグループは、糖尿病の治療薬「SGLT2阻害薬」を使って老化細胞を取り除く動物実験に成功したと5月31日に発表していて、人での効果を確かめる臨床研究を行うため、来週にも学内の倫理委員会に申請する方針を固めたことが分かりました。

その同じ日、私が熊本で開催された第24回日本抗加齢医学会で口演発表しましたように、私が30年にわたって研究を続けてきた九州に多いウイルスが原因でおこる白血病・リンパ腫も、「老化した腫瘍細胞」が存在し続けることが治療を難しくしていると考えられたのでした。

南野先生によれば、「老化細胞」は分裂を繰り返したり、遺伝子の損傷が積み重なったりして増えなくなった細胞で、加齢に伴って蓄積し体の衰えや糖尿病などの病気につながるとされています。年をとると蓄積し、体の衰えにつながるとされる「老化細胞」を薬を使って取り除こうという国内初の臨床研究の実施を、順天堂大学などのグループが来週にも学内の倫理委員会に申請する方針を固めたことが分かりました。来年度中に最初の患者への薬の投与を始めたいとしています。

計画では、65歳以上の糖尿病などの患者50人をこの薬を投与するグループとしないグループに分け、安全性に加え細胞の遺伝子の損傷の状況を調べて老化の程度に差が出るか確認するということです。
順調に進めば、来年度中に最初の患者への投与を始めたいとしています。

老化細胞をめぐっては、2011年にこの細胞を取り除いたマウスで加齢に伴う症状に効果があったという実験結果がアメリカから報告されて以降、細胞レベルでの若返りを目指した研究が国内外で進んでいます。

私たち聚楽内科クリニックでは、すでに「SGLT2阻害薬」が適応となっている、「糖尿病」「慢性心不全」「慢性腎臓病」の患者さまを対象として、「老化細胞」除去の効果も期待しながら診療を続けております。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。