Director's blog
院長日記

8万年前地球上に生まれていた生物たちに思いをよせて

老化は「治る」を出版してからというもの

もっと医学を、生物学を、化学を究めようと

最近では、この地球上で生命を得た生物たち

私たちの身体、その中で「はたらく細胞」、その中ではたらく「ミトコンドリア」や「化学反応」について

より深く勉強し、思いを馳せるようになりました。

昨日からのニュースでは

昨年発見されたばかりの紫金山(しきんざん)・アトラス彗星(すいせい)が地球に再接近ということですが、

なんと、これが8万年周期で地球に接近しているというのです。

8万年前の地球には、どのような生命体が存在していたのでしょうか。

 

40億年前 – 原始海洋

古い変成岩に含まれる堆積岩の痕跡などから、43 – 40億年前頃に海洋が誕生したとみられています。この海洋は、原始大気に含まれていた水蒸気が、火山からの過剰な噴出と温度低下によって凝結して、雨として降り注いで形成されたものでした。初期の海洋は、原始大気に含まれていた亜硫酸や塩酸を溶かしこんでいたため酸性でしたが、陸地にある金属イオンが雨とともに流れ込んである程度中和されたと考えられています。ある程度中和されると二酸化炭素が溶解できるようになるため、大量の二酸化炭素を吸収していきました。

地球全体は還元的な雰囲気下にあり、2価鉄のイオンとして溶解していました。水蒸気が紫外線を受けて光分解することで酸素が生成されてはいたが、2価鉄3価鉄への酸化により発生した酸素がすぐに吸収されたため、大気中にはほとんど残らなかったようです。

32億年前 – 光合成をする生物が出現:藍藻(シアノバクテリア

遅くとも32億年前までには光合成をする生物が現れ、海中に酸素を供給しはじめました。

二酸化炭素光合成を行う生物が誕生すると、それらは二酸化炭素を酸素に変換するようになります。

27億年前 – シアノバクテリアが大量発生

この頃のシアノバクテリアの化石が大量に見つかっています。酸素の供給量が増加しました。

25億年前 – 縞状鉄鉱層を形成

シアノバクテリアの活動で海中の酸素量が増加し、海中の2価の鉄イオン3価鉄に酸化して沈殿したため形成されました。

20数億年前? – 大気中の酸素の増加

酸素は初期の生物の大量絶滅と酸素を効果的に利用した生物のさらなる進化を導きました。

海中の鉄イオン濃度が低下し、海中の鉄イオンが酸化し尽くされると縞状鉄鉱層の形成も停止し、余剰となった海中の酸素が大気中にも多く供給されるようになりました。

大気中の酸素は紫外線と反応しオゾンをつくりました。酸素濃度が低かったころは地表にまで及んでいたオゾン層は、濃度の上昇とともに高度が高くなり現在と同じ成層圏まで移動し、これにより地表に到達するDNAを破壊する有害な紫外線が減少し、生物が陸上にあがる環境が整えられました。

21億年前(±6億年) – ミトコンドリア葉緑体等に相当する生物と共生した真核生物の出現

10億 – 6億年前 – この頃、多細胞生物が出現

多細胞生物は原口 (生物学)の獲得により強力な捕食能を有するに至りました。

およそ5億4200万年前から5億3000万年前の間 – カンブリア爆発と呼ばれる生物の多様化

突如として脊椎動物をはじめとする今日見られる動物界のほとんどの門 (分類学) が出そろった現象です。

短期間(約1000万年の間)に生物の種類を多く増やしました。

3億6000万年前 – 温暖期

この頃、大森林が各地に形成され、石炭の元になったようです。光合成により二酸化炭素が減少し温室効果が減少し寒冷化に向かい酸素濃度が増えました。

3億6000万年前 – 脊椎動物(両生類)の上陸

3億年前 – 二酸化炭素濃度が現代の程度まで低下

この前後寒冷化し、酸素濃度が最高の35%となりました。これ以降、リグニンを含む樹木を分解できる菌類(白色腐朽菌)が登場し酸素濃度が徐々に減少に向い、二酸化炭素濃度は増加に向かいました。

3億年前 – 昆虫が拡大

ゴキブリもこの頃に出現。身近な生きている化石とされています。

3億年前 – 爬虫類の出現

2億5000万年前 – 爬虫類から双弓類を経て進化した恐竜の出現

中生代の三畳紀、ジュラ紀、白亜紀を通して恐竜が繁栄。恐竜は気嚢をもち低酸素環境に対応できました。哺乳類の祖先の横隔膜をもつ単弓類は低酸素環境に対応できずに衰退しました。

2億2500万年前 – 最古の哺乳類のアデロバシレウスの出現

魚類、両生類、爬虫類、鳥類には4タイプの錐体細胞を持つもの(4色型色覚)が多いそうです。一方ほとんどの哺乳類は錐体細胞を2タイプしか持ちません(2色型色覚)。哺乳類の祖先は4タイプ全ての錐体細胞を持っていましたが、初期の哺乳類は主に夜行性であったため、色覚は生存に必須ではなかったために退化しました。

2億年前 – 酸素濃度が12%まで低下

二酸化炭素濃度は現代の数倍から10倍程度に増加しました。この前後温暖な気候が続きます。これ以降徐々に酸素濃度が上昇し、二酸化炭素濃度が減少していきました。

1億年前 恐竜の全盛時代

6550万年前 – 生物の大量絶滅(白亜紀末)

この頃、恐竜が絶滅しアンモナイトも絶滅しました。

約6550万年前 – 霊長類の出現

約5500万年前に現れたアダピス類が初期の霊長類と考えられています。これより前の約7000万年前に北米に出現したプレシアダピス類のプルガトリウス(英語版)を最古とする考え方もあります。

霊長目でビタミンC合成能力が失われたのは約6300万年前で、直鼻猿亜目(合成能力なし)と曲鼻猿亜目(合成能力あり)の分岐が起こったのとほぼ同時だと考えられています。ビタミンC合成能力を失った直鼻猿亜目にはメガネザル下目や真猿下目(サル、類人猿、ヒト)を含んでいます。ビタミンC合成能力を有する曲鼻猿亜目には、マダガスカルに生息するキツネザルなどが含まれます。

4000万年前 – 3000万年前

真猿下目の狭鼻下目(旧世界ザル)と広鼻下目(新世界ザル)が分岐

3000万年前

2色型色覚(赤緑色盲)に退化した哺乳類のうち霊長目狭鼻下目が3色型色覚を再獲得

ビタミンCを豊富に含む色鮮やかな果実等の獲得と生存に有利でした。

2800万年から2400万年前

狭鼻下目のヒト上科(テナガザル、オランウータン、チンパンジー、ゴリラ、ヒトの共通祖先)がオナガザル上科から分岐

同時にヒト上科で尿酸を分解する尿酸オキシダーゼ活性が消失しました。尿酸が直鼻猿亜目で合成能が失われたビタミンC抗酸化物質としての部分的な代用となりました。

約1400万年前 – ヒト科がヒト亜科とオランウータン亜科に分岐したと推定

1000万年前 – 約1000万年前にヒト亜科がヒト族とゴリラ族に分岐したと推定

約700万年前 – ヒト族はヒト亜族とチンパンジー亜族に分岐したと推定

猿人の出現。直立二足歩行の開始。

370万 – 100万年前 – アウストラロピテクス(猿人)

最初の人類とされます。一定の道具を使用しました。

約250万 – 180万年前 – この頃、石器の使用

エレクトス原人が出現しました(250万年前)。

約78万年前 – 最新の地磁気の逆転

地球磁場は10万 – 100万年ぐらいの不規則な周期で何度も逆転しています。この頃の逆転が直近のものです(ブリュンヌ期、約78万年前 – 現在)。これより前の逆転は約250万年前(松山期、約250万 – 78万年前)。

概ね70万年前頃-この頃から10万年周期の気候変動

約50万年前 – 北京原人

約40万年前 – マンモスは、北東シベリアで誕生

約23万年前 – ネアンデルタール人の出現

この頃、温暖期のピーク。

この後、緩やかに寒冷化へと向かい、14万年前頃に氷期のピークとなりました。

約20万 – 19万年前 – ホモ・サピエンス(現在のヒト)の出現

16±4万年前のミトコンドリア・イブの存在。

アフリカに出現、10万年前頃にユーラシア大陸にも拡大したと考えられています。

約15万年前 – マンモスがヨーロッパに出現

約14万年前 – 氷期(リス氷期)のピーク

この後、急速に温暖化へと向かいました。

約13万 – 12万年前 – 温暖期のピーク

現在よりも温暖であったと考えられています。この後、急速に寒冷化し、約11万年前頃から緩やかに上下を繰り返しながら徐々に氷期へと向かったようです。

約12万5千年前 – 初期のヒト属による火の利用

日常的に広範囲にわたって火が使われるようになったことを示す証拠が、約12万5千年前の遺跡から見つかっています。

約10万年前 – マンモスはヨーロッパから北アメリカ大陸にまで生息分布を拡大

マンモスは寒冷な草原での生活に適応していました。

約10万年前 – 現代人(ホモ・サピエンス)がアフリカを出て世界各地に拡大(アフリカ単一起源説を裏付けるもの)

ミトコンドリアDNAの分析では、現代人の共通祖先の分岐年代は14万3000年前±1万8000年と言われています。

8万1000年前 – 地球温暖化に伴う海面の急速な上昇

国際研究グループが、気候変動に伴う氷床の拡大、縮小は今まで考えられていたよりも急速に起きる可能性があると発表しました。

約7万3000年前 – スマトラ島のトバ火山の大噴火

ここ10万年ほどでは最大級の噴火とされ、地球の気温が数年間3 – 3.5度低下しました。ヒトのDNAの解析によれば、7万年ほど前に人類の人口が1万人以下に激減し、遺伝的な多様性の多くが失われ現在の人類につながる種族のみが残った「ボトルネック効果(遺伝子多様性減少)」があったと考えられており、これがトバ火山の大噴火に関連すると考えられています。→ トバ・カタストロフ理論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

このように、8万年前の地球上では、私たちの祖先が生き残っていたようです。

では、次回紫金山(しきんざん)・アトラス彗星(すいせい)が地球に再接近するときの地球上はどうなっているのでしょうか。もし、私たちがタイムマシーンで時間を超越する技術を手に入れることができたならば、自分の目でみることができるのかもしれません。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。