Director's blog
院長日記

新しいYouTube作成中:この年末に読んでいる論文

この数日面白いと感じて読んでいる論文があります。

Trends Cell Biol . 2020 July ; 30(7): 516–536. doi:10.1016/j.tcb.2020.04.005.

Turning the Oxygen Dial: Balancing the Highs and Lows

Alan H. Baik1,2,*

, Isha H. Jain1,*

1Department of Physiology, University of California, San Francisco, CA 94158, USA

2Department of Medicine, Division of Cardiology, University of California, San Francisco, CA

94143, USA

最近の研究では、ミトコンドリア病モデルが組織の高酸素症を示し、

過剰な酸素の正常化によって疾患の病理を逆転させることが示されており、

特定の病状が酸素レベルを調節することで治療できる可能性があることが示唆されています。

酸素生命にとって不可欠であると同時に有毒です。

低酸素症は両刃の剣であり、

細胞、組織、全身レベルで有害な影響と有益な影響を及ぼします。

すべての組織、病状、個人には最適な酸素設定値があります。

酸素の供給と需要の不一致によりこの設定値が乱れ、病状を引き起こす可能性があります。

高酸素症に対する細胞反応については多くのことが不明のままです。

十分な理由が解明されていないため、

過剰な酸素が細胞レベルと全身レベルで有毒であるという証拠が増えています。

酸素供給は、適応があれば投与し、組織の酸素需要を満たすように調整し、

全身毒性副作用を最小限に抑えるために不要になったら中止する治療法とみなすべきです。

重要なことは、

ミトコンドリア病の患者では

絶対に適応がない限り、酸素補給を避けるべきであるということです。

病因と病気の進行組織と静脈の高酸素症に関連しており、

高酸素症の正常化は寿命の延長を含む劇的な改善をもたらす可能性があります。

今後の酸素研究の展望は明るく、

神経疾患

心血管疾患

ミトコンドリア機能不全

タンパク質毒性状態

ドーパミン作動性神経変性

異常な低酸素シグナル伝達によって引き起こされる悪性腫瘍

老化の治療

の手がかりが見つかるかもしれません。

熱気球に乗って高高度探検をしていた時代から、私たちは長い道のりを歩んできました。

しかし、酸素代謝の高低を探るには、果てしなく未知の領域が残っています。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。