水素吸入療法の力 その②:安全性
H2投与の人体安全性
新薬物質の臨床応用を目指す場合、安全性の確保は最優先事項です。
二酸化炭素、一酸化窒素、硫化水素などの他の医療用ガスとは異なり、
H2は血流中のヘモグロビンに結合しないため、H2はヘム関連の毒性作用を引き起こしません。
広範な動物実験により、H2投与は安全であることが示されていますが、
さまざまな投与方法における人体への安全性の包括的な文書はまだ示されていません。
H2:O2 または H2:O2:He の混合ガスは、
減圧症予防のために長年深海ダイバーによって使用されており、
H2吸入の人体への安全性も確認されています。
1988年と1994年の2つの研究では、
海抜450~500mへの潜水中に49~56%のH2を含む混合ガスを呼吸すると、
高圧神経症候群の症状の一部が緩和され、使用時の安全性が確認されました。
注目すべきことに、最近の臨床研究は、
H2療法のヒトに対する安全性を実証することを目的としています。
10人の脳虚血患者を対象としたある研究では、
3% H2を30分間吸入しても生理学的パラメータに変化がないこと、安全性が再確認されることが実証されました。
さらに、動物実験の結果と同等の血中H2レベルの上昇が観察されました。しかし、個人間でH2レベルに多少の不一致も観察されました。
実施された臨床試験の数が多いことは、
H2飽和水の飲用
さまざまなレベルのH2ガスの吸入
H2を多く含む生理食塩水の注射
および局所塗布や透析などの他の方法によるH2投与の安全性と毒性がほとんどないことを裏付けています。
報告された臨床研究全体で、
人間がH2を摂取することによる有害反応はほとんど見られず、
すべての試験でH2の投与は人間にとって安全であると結論付けられています。
このように、他の医用ガスに比べて、
水素には細胞毒性がまったくないという利点があります。
H2は高濃度であっても細胞毒性がないことが人体でも確認されています。
また,水素ガスは
527℃より高温でのみ可燃性を示し、
爆発範囲(4~75%,vol/vol)の濃度でのみ酸素分子と連鎖反応して爆発します。
後に述べるように、
1~4%のH2ガスを吸引することで高い効果を示すため、とりたてて爆発を懸念する必要なく、臨床用途にH2を使うことができると考えられています。