水素吸入療法の力 その13:ヒト研究における有効性(肝疾患 NAFLD or MASLD)
治療法が確立されていないもう1つの世界的な健康問題は、
肝機能障害を引き起こす非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)です。
最近ではmetabolic dysfunction associated steatotic liver disease(MASLD)と診断されるようになりました。
このように代謝障害はNAFLDの発症に大きな役割を果たしているため、
脂質とグルコースの代謝を促進する医薬品がこの疾患の治療に役立つのではないかと関心を集めています。
糖尿病およびメタボリック シンドローム患者を対象とした臨床試験の結果からわかるように、
水素(H2)は脂質とグルコースの代謝を促進する医薬品としての特性を持つ可能性があります。
NAFLDには、
炎症
過剰な酸化ストレス
異常な細胞シグナル伝達
も関連している可能性があります。
2つの別々の臨床試験で、1日1 LのH2を豊富に含む水を経口摂取した場合の効果について調べられました。
そのうちの1つは12人の被験者を対象とし、
1ヶ月後、H2療法はプラセボと比較して肝臓の脂肪蓄積を有意に減少させましたが、体重と組成に有意差はなかったようです。
2番目の研究は30人の被験者を対象とし、
2ヶ月間続き、NAFLD疾患マーカー、体重、BMIのレベルに、有意ではない減少が見られました。
興味深いことに、酸化ストレスマーカー(8-ヒドロキシ-2′-デオキシグアノシンとマロンジアルデヒド)の有意ではない増加傾向も見られ、
これは、長期にわたる有意な臨床的改善に先立つH2のホルミシス効果によるものと考えられました。
別の研究では、中等度から重度のNAFLD患者43人を対象に、
H2:O2(2:1)ガス混合物を3L/分の速度で1日1時間、13週間吸入する試験が行われました。
そして血清脂質と肝臓酵素の改善、および肝臓脂肪含有量の有意な改善が認められました。
マウスモデルによる追加研究では、H2のこの効果は肝臓のオートファジーを促進することによって引き起こされた可能性が明らかになりました。