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院長日記

水素吸入療法 その15:太田成男先生の臨床研究論文紹介①②

ここから、いくつかの論文を引用しながら、水素ガスの特筆すべき作用についてご紹介しようと思います。

まずは水素が細胞中ではヒドロキシルラジカル(·OH)のような酸化力の強い物質を消去することを示し、

従来の概念を変換した太田成男先生の総説からの引用です。

吸引した水素ガスは短時間で体内に取り込まれ作用するので,急性の酸化ストレスに対する防御に適しており、

とりわけ心筋梗塞において水素ガスの吸引は血圧には影響を及ぼさないこと、

また、水素は血管が梗塞され血流が停止した患部にも拡散で到達できるので、

再灌流時に発生するROSの障害を防御できるという点もほかの薬剤と異なる利点であると述べられています。

次に、やはり太田成男先生が中心となって行われた研究です。

静岡県沼津市西島病院において、

脳梗塞患者50名を対象とし、

脳梗塞後6時間から24時間に、3%水素ガス1日2回1時間、25人に吸入させ、

25人には従来の治療法を対照として比較しました。

安全性に関しては、血液検査において何ら副作用と思われる異常を示さず、

酸素飽和濃度の改善が認められました。

MRIでは水素群で有意に改善が認められ、リハビリテーションへの効果ではバーセルインデックスを用いた日常生活動作のスコアが改善しました。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。