水素吸入療法 その16:衝撃を受けた臨床研究論文紹介③
そして、私たちのクリニックで水素吸入療法を始めた頃、
朝のニュースでこの研究成果を知って、衝撃を受けたのを覚えています。
わずか2%の水素を酸素吸入に加えただけで、心肺停止状態になった患者さんの死亡率が下がり、
脳後遺症を残さずに回復することができるようになったのでした。
東京歯科大学の鈴木昌教授(慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート特任教授)と
慶應義塾大学医学部救急医学教室の本間康一郎専任講師、同内科学教室(循環器)の佐野元昭准教授らは、
慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート水素ガス治療開発センターの活動のなかで、
国内 15 施設が参加した多施設共同二重盲検無作為化比較試験を行いました。
心臓のトラブルなどで突然、心停止に陥った場合、
ただちに心肺蘇生を行えば心臓の拍動が回復して救命されることは少なくありません。
しかし、脳をはじめとした全身の臓器は心臓が停止して血液が巡らなかったために、大きなダメージを受けます。
そのため、意識が回復しないまま死亡したり、重い後遺症が残ったりするのが実情です。
病院外で心停止になり心肺蘇生で心臓の拍動は回復したものの意識が回復しない状態で
2%水素添加酸素吸入(水素ガス吸入療法)を行うと、
驚くべきことに、 90 日後の生存率は、 従来の治療で 61%なのに対し、水素吸入療法により 85%に上昇、
また、後遺症なく回復した人の割合も 21%から46%に上昇することが統計学的に確かめられました。