人間を一段と鍛え上げる “内面の工夫” 論語【顔淵篇】
子張が孔子に質問する。
「徳を積んで高くし、迷いをはっきり明らかにするにはどうしたらよいでしょうか」
孔子は答える。
「心に忠実信実を主として、自らを欺かず、不義を避けて正義に徙(うつ)り、行うことがみな正義にかなって過失がなければ、徳はおのずから高くなっていく。愛憎は人の常だが、愛するときはその人が長く生きてほしいと思い、憎むときはその人が死んだらよいと思うのは人情だ。いわゆる可愛さあまって憎さが百倍というもので、これはその人の善不善で愛憎するのではなく、おのれの私情をもって愛憎しているだけだ。これこそ迷いである」
(渋沢栄一「論語」の読み方、竹内均編・解説)
医療従事者として困っている人のためにと手を差し伸べるのは当たり前のことであるが、これを出会った全ての人に同じ態度で接していると自分勝手な私利私欲を貪(むさぼ)る者たちとの関係をもってしまい自分自身の生活が困窮してしまう。