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院長日記

子曰く、人の過(あやま)ちや、おのおのその党(とう)においてす。過(あやま)ちを観てここに仁を知る。 論語【里仁篇】

武本 重毅

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 人の過ちというものは、それぞれの人の性質によって違っている。仁が厚くて犯す過ちもあれば、薄情で犯す過ちもあり、過ちの仕方によってその人の仁のあり方を知ることができる。党は郷党のこと。
 明治維新の豪傑で、西郷隆盛は仁愛に過ぎて、過ちを犯した。彼はあくまで人に親切で、部下の青年に対しても仁愛に過ぎ、一身を同士仲間の犠牲として捧げて明治十年の西南戦争は起こったものである。木戸孝允も仁愛に傾いた人であるから、過失があったとすれば、仁愛に過ぎたことからきたものであろう。
 人はたとえ過失を犯しても、それが仁愛に過ぎたことから起こったものでなければならない。
(渋沢栄一「論語」の読み方、竹内均編・解説)

 還暦の歳まで残り1年1ヶ月となり、医師としては当然であるが、一人の男として誰も彼も(彼女も)に親切にするのは身(金)がもたないと思う今日この頃である。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。