ヘムとポルフィリン 1:生命の起源に関わるポルフィリン体
本日からは新しいシリーズ「ヘムとポルフィリン」をはじめます。
「ヘム」は、赤血球の赤い色素蛋白であるヘモグロビンのヘムです。
ヘモグロビンは、ヘムとグロビンという2種類の物質からなり、ヘムは「ポルフィリン」という骨格の中央に鉄イオン(Fe2+)がはまり込んだ構造をしています。
「ポルフィリン」は、炭素原子(C)、水素原子(H)、窒素原子(N)が規則正しく並んだ環状構造の有機化合物です。
私たちの生命の起源、地球における生命の起源に深く思いを馳せると、
私たちは代謝の過程におけるポルフィリン体の中心的役割に感銘させられます。
植物の緑と血液の赤は生物の象徴です。
マグネシウム・プロトポルフィリンは葉緑素の主要成分で、光合成の過程で太陽エネルギーを植物中に蓄えられる化学的エネルギーに交換するのに関与しています。
鉄プロトポルフィリンすなわちヘムは、ヘモグロビンによる酸素の運搬の役目を果たし、食物の化学的エネルギーを呼吸系ヘム色素により生物の代謝エネルギーへと変換します。
我々が住む地球で、生物の進化の過程で起こった、偶然の突然変異と淘汰の相互作用の過程において、これらのポルフィリン体は大切な役割を果たしてきました。
興味深いのは、生きる上で必須のシステム・機能が、種を超えて利用されていることです。
すなわち、これは、必然的に、自然淘汰の果てに生き残った、最も素晴らしいシステム・機能なのです。