Director's blog
院長日記

先日の「院長日記」読者の方から追加のご質問がありました

[お問い合わせ内容]

ところで、ミトコンドリアを活性化するサプリとして、ALAPQQコエンザイムQ10などが市販されていますが、これらについてはいかがなものでしょうか。

これらはNADと関係ないと思いますが、回答いただけると幸いです。どうかよろしくお願いいたします。

 

[ご回答]

返信が遅れてすみません。
少し調べてみました。
 
前立腺がんは特に活性酸素種(ROS)によって促進されることから前立腺がんの男性では酸化ストレスの増加抗酸化防御システムの障害がみられるようです。
Oh B., Figtree G., Costa D., Eade T., Hruby G., Lim S., Elfiky A., Martine N., Rosenthal D., Clarke S., et al. Oxidative stress in prostate cancer patients: A systematic review of case control studies. Prostate Int. 2016;4:71–87. doi: 10.1016/j.prnil.2016.05.002.
 
まずALA(アミノレブリン酸)ですが、
ヘム生合成を促進しミトコンドリアを元気にします。
さらにALAには前立腺がんを抑える効果があるかもしれません。
経口摂取した 5-ALA ミトコンドリア シトクロム c と COX4 の機能発現をサポートし、前立腺発がんマウスにおいてカスパーゼ 3 依存性アポトーシスを引き起こす可能性があるようです。
つまり5-ALA摂取によりがん細胞が壊される可能性があります
しかし前立腺発がんにおける 5-ALA の発症予防については、今後の臨床研究が必要です。
 
PQQ(ピロロキノリンキノン)については、注意が必要です!
PQQ は、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ (Nampt) の発現を高めます。Nampt 活性の増加は、NAD+ 細胞レベルを上昇させます。
このように、前回のメールでお示しした内容と同様のリスクがあると考えられます。
 
最後にコエンザイムQ10についてですが、PSAへの影響はないと思われます。
ビタミンE(350 mg)、セレン(200 μg)、ビタミンC(750 mg)、コエンザイムQ10(CoQ10)(200 mg)を含む経口的栄養補助(ONS)を21週間投与したところ、ホルモン治療を受けていない前立腺がんの男性血清PSA濃度が上昇している男性循環PSAには影響がなかったようです。
Hoenjet K.M.J.L.F., Dagnelie P.C., Delaere K.P.J., Wijckmans N.E.G., Zambon J.V., Oosterhof G.O.N. Effect of a nutritional supplement containing vitamin E, selenium, vitamin c and coenzyme Q10 on serum PSA in patients with hormonally untreated carcinoma of the prostate: A randomised placebo-controlled study. Eur. Urol. 2005;47:433–439. doi: 10.1016/j.eururo.2004.11.017. discussion 439–440.
以上のことから、5-ALAを摂取していただき、PQQは控えていただきたく存じます。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。