子曰く、もし周公(しゅうこう)の才(さい)の美(び)あるも、驕(おご)りかつ吝(りん)ならしめば、その余(よ)は観(み)るに足(た)らざるのみ。 論語【泰伯篇】
孔子は、
「周公旦(しゅうこうたん)は多才な人で知能にすぐれて諸種の技芸に通じ、すべてが精妙の域に達していた人だが、もし周公と同レベルの才能があっても、自分の才を鼻にかけて驕(おご)り、また物惜しみする人ならば、その才能だけでなくその他のこともすべてとるに足らない」
と、深く傲慢と物惜しみを戒めた。
『大学』に「忠信をもってこれを得、驕泰(きょうたい)をもってこれを失う」とあり、一家のことであれば、一生懸命に若いときから働いて一家を興しても、それに安心して驕ってしまうと、たちまち元の無一文となる。
荻生徂徠は、「驕ればすなわち君子を失い、吝(りん)なればすなわち小人を失う。人の上にある所以(ゆえん)にあらざるなり」と、明快に解説している。
そして名軍師、諸葛孔明(しょかつこうめい)が、
「将は驕ってはいけない。驕れば礼を失う。礼を失えば人心は離れる。人心が離れれば必ず背く。将は物惜しみをするな。惜しめば賞を与えなくなる。賞を与えなければ、兵は命令に従わなくなる」
と説いている。
(渋沢栄一「論語」の読み方、竹内均編・解説)
還暦まで1年と3週となり、そろそろ一緒に目標に向かって突き進む仲間を集めたいと思うようになった。