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院長日記

撰ばれてあることの恍惚と不安と二つわれにあり 太宰治(ヴェルレーヌの詩より)

武本 重毅

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孤独を知る人の心境
 多くの人はそうした孤独に耐えられない。一人でいることに恍惚はなく、不安ばかりで、誰かと群れることで、手っとり早く孤独から逃れようとする。恍惚は、言葉を換えれば、誇りといってもいい。

 日本人は孤独嫌いが多く、孤独に対するイメージは良くない。孤立、孤食、孤独死と、一人で行動する人を良くいわない。孤独死など、特に新聞やテレビで特集して世の憐れみと涙を誘う。
 私(下重暁子氏)はそうは思わない。他人にはわからずとも、孤独でいることに誇りを感じる人は、人として成熟しているのではなかろうか。
(下重暁子 極上の孤独)

 私が大好きだった川崎静秋叔父は、九州帝国大学医学部を卒業し、晩年は鹿児島の吹上げで開業していた。静秋叔父は最後まで自宅で独居を通した。最近、独居老人や孤独死の問題がニュースになることがある。しかし私は、静秋叔父の生き様がひとつの憧れでもある。誰の世話になることも嫌い、できる限り自分自身の力で生きようとした。そして最後に力尽きた。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。