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院長日記

痛みなく血糖測定ができる時代が来る?

武本 重毅

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皆さん、こんにちは。聚楽内科クリニック院長の武本です。

今回は、昨年行われた「第67回日本糖尿病学会」で紹介された “指をかざすだけ”で血糖値が測れる新技術 について、ご紹介します。

◆ ついに「刺さずに血糖測定」が実現へ!

糖尿病の患者さんにとって、血糖値を測ることはとても大切ですが、指先に針を刺す自己測定(SMBG)は「痛い」「面倒」「針のゴミが出る」といった負担も少なくありません。

今回発表されたのは、「非侵襲性(=刺さない)血糖センサー」。指先をセンサーに当ててたった5秒、レーザーを当てるだけで血糖値がわかるという画期的な装置です。

写真で見ると、据え置き型(机に置くタイプ)と持ち運び可能なモバイル型の2種類があり、手のひらサイズでとてもコンパクトです。

◆ なぜ刺さずに測れるの?

この機器は「中赤外線レーザー」という特殊な光を使い、血液中の「グルコース(ブドウ糖)だけに反応する光の吸収」をキャッチします。これにより、他の成分に邪魔されず、正確に血糖値を測定できるのです。

これまでにも赤外線を使った方法は研究されていましたが、グルコースと他の物質の見分けが難しく、実用化には至っていませんでした。今回は高精度なレーザー技術の進歩により、世界でも初めてに近いレベルの実用化が見えてきました。

◆ 血糖値はスマホやパソコンにすぐ表示!

測定された血糖値はすぐにスマートフォンやパソコンの画面に表示され、クラウド上に保存されます。これにより、離れた場所にいる医師も患者さんの血糖値を確認できるようになります。

また、将来的にはさらに小型化し、スマートウォッチのように連続測定が可能になるとも言われています。

◆ どんな人に向いているの?

この機器は特に――
• 1型糖尿病の方(頻繁な採血が苦痛な方)
• 食後高血糖が気になる2型糖尿病や予備群の方
• 在宅で血糖管理したい方

にとって大きな助けになる可能性があります。

また、血糖値の測定が 「痛みもなく、簡単で、日常的にできる」 ようになれば、もっと早い段階から生活習慣の改善や予防にも役立ちます。

◆ 将来は中性脂肪やコレステロールも?

さらに、開発者の山川先生によると、この技術は将来的に中性脂肪・コレステロール・乳酸・アルコールなどの測定にも応用できる可能性があるとのこと。まさに「家庭に1台の健康モニター」として、今後の医療や健康管理の形を大きく変えてくれるかもしれません。

聚楽内科クリニックでも、このような最先端技術の動向を注視し、皆さまの健康に役立つ情報をこれからも発信してまいります。

「刺さずに測る血糖計」、私たちの未来にとって、とても希望のあるニュースですね。

院長 武本 重毅

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。