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院長日記

「制度に頼る時代」から「自己管理と共助」の時代へ

2025年・2026年の日本において「少子高齢化」「国民皆保険制度の危機」「年金・介護・生活保護の圧迫」が同時進行している状況を、以下のように分析・予想できます。

【2025〜2026年の日本:社会保障制度の“多重圧迫”シナリオ】
1. 高齢者人口のさらなる増加と「医療・介護」の逼迫
• 2025年:団塊の世代(1947〜49年生まれ)が全員75歳以上に
• 要介護認定者数が増加し、介護保険の財政圧迫が顕在化
• 「介護離職」「介護人材不足」「特養の待機者急増」が社会問題化
• 医療費増加は止まらず、75歳以上の医療費は全体の4割以上を占める見通し

2. 年金制度の“信頼危機”と現役世代の不満
• 年金受給者:4,000万人超/現役納付者:6,000万人未満
• 「支える人」より「もらう人」が多い逆転構造
• 受給額の実質減少(物価高+マクロ経済スライド)
• 生活維持困難な高齢者の生活保護申請が増加
• 若年層の「年金不信」→「納付忌避」や「海外志向」加速

3. 国民皆保険制度の「綻び」
• 医療費抑制のため:
• 自己負担割合の引き上げ(70歳以上でも2割〜3割へ)
• 「選別的医療」導入(軽症は自由診療へ誘導)
• 地域によって医療格差が拡大:
• 地方の「病院撤退」「医師不足」→「医療難民」増加

4. 生活保護と“セーフティネット依存社会”の拡大
• 生活保護受給者数:2023年で200万人を突破(予備軍含め実質300万人以上)
• 高齢者単身世帯の増加+無年金・低年金層の拡大で、
• 「老後=生活保護前提」社会へのシフト

【経済的背景】
• 賃金は横ばい、物価は上昇傾向(スタグフレーション型不況)
• 国債発行残高はGDPの250%以上に
• 財政再建は進まず、次の選挙後に「消費税引き上げ議論」再燃の可能性(2026年〜)

【社会的影響】
• 国民の間で「持続可能な社会保障」への疑問と不安が蔓延
• “健康で長く働ける”人だけが生き残る社会
• アンチエイジング・セルフメディケーション・予防医療・健康格差の二極化が一層拡大

【展望:打開策はあるか?】
1. 地域医療・介護の再編(小規模多機能・地域包括ケアの本格推進)
2. 医療のデジタル化・自費診療領域の拡充(テック×医療)
3. 健康寿命延伸政策と医療費圧縮の両立(ミトコンドリア医療・抗老化医療含む)
4. 現役世代への年金信頼回復と「新しい納付モデル」の提示
5. 予防医療・栄養・運動の国民運動化(ヘルスリテラシー向上)

まとめメッセージ
「制度に頼る時代」から「自己管理と共助」の時代へ。
2025〜2026年は、日本が“長寿社会”から“健康長寿社会”に進化できるかの分岐点。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。