“ミトコンドリアは腸で決まる?” ──腸内細菌とエネルギー代謝の深いつながり
■ なぜか疲れやすい…その原因、実は「腸」かもしれません
「健康のカギは腸にある」──
最近よく聞く言葉ですが、ミトコンドリア(細胞のエネルギー工場)と腸内環境が深くつながっていることは、まだあまり知られていません。
実は私たちのエネルギー代謝の土台には、腸内細菌が密接に関わっているのです。
“なんとなく元気が出ない”という方は、まず「腸の状態=腸活」と「ミトコンドリア活性」の両方に注目してみてください。
■ 腸は「第二の脳」、でもそれだけではない!
腸は「第二の脳」とも呼ばれるほど、多くの神経や免疫細胞が集中しています。
さらに、腸内には約1,000種類・100兆個以上の細菌がすみつき、ビタミンやホルモン様物質、短鎖脂肪酸などを日々つくり出しています。
その中には、ミトコンドリアの働きを間接的にサポートする成分をつくってくれる善玉菌も多く存在します。
たとえば:
• ビタミンB群(特にB2、B3、B6) → NAD⁺産生に必要
• 短鎖脂肪酸(酪酸など) → ミトコンドリアのエネルギー源
• ポリフェノール代謝物 → 抗酸化作用・ミト保護
• 乳酸菌の代謝物 → 腸管バリアを守り、炎症を防ぐ
つまり、「腸内細菌が元気=ミトコンドリアも元気」という関係が成り立っているのです。
■ 腸が乱れると、ミトコンドリアも乱れる?
一方、腸内環境が乱れるとどうなるか。
• 高脂肪・高糖質・食品添加物の多い食事
• 慢性的な便秘や下痢
• 抗生物質の多用
• 睡眠不足・ストレス
こうした要因によって腸内フローラのバランスが崩れる(ディスバイオーシス)と、悪玉菌の比率が増え、腸のバリア機能が低下。
すると、炎症性サイトカインや毒素(LPSなど)が全身に広がり、ミトコンドリアの機能にも悪影響を及ぼすことがわかってきました。
炎症 → 酸化ストレス → ミト機能低下 → ATP産生の低下
という“負のループ”が始まってしまうのです。
■ ミト活の土台は「腸内リセット」から
当クリニックでも、ミトコンドリア活性化の一環として「腸内環境の最適化」を重視しています。
以下のような食習慣・栄養素を、日常的に取り入れることが推奨されます:
• 食物繊維(野菜・海藻・きのこ) → 善玉菌のエサに
• 発酵食品(味噌・ヨーグルト・ぬか漬け) → 乳酸菌補給
• ポリフェノール食品(緑茶・カカオ・ベリー) → 抗酸化・抗炎症
• 5-ALAやNMNとの併用 → 腸→ミトコンドリアの活性化相乗効果
また、当院で扱うNMNサプリや水素吸入療法も、ミトコンドリア機能の回復だけでなく腸内炎症の軽減にもつながる可能性があります。
■ まとめ:腸を整えると、細胞が喜ぶ
「腸内細菌が健康であることは、ミトコンドリアが健康であること」
──それが、私たちが臨床の現場で感じている実感です。
いくら高価なサプリメントを飲んでも、腸が整っていなければ吸収されません。
逆に、腸が元気であれば、ミトも元気になり、体全体が自然と目覚めてくるのです。
疲れやすい・なんとなく不調という方は、ぜひ「腸とミトコンドリア」のつながりに注目してみてください。
次回予告:
「ストレスは“ミトコンドリア”を壊す?──自律神経とATPの知られざる関係」