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院長日記

【第5回】Mito Rising応用編:「女性ホルモンとMito Rising」

武本 重毅

「更年期・月経不調・PMS──ミトが整えばホルモンも整う」

「生理前にイライラする」「更年期で気分が不安定」「なんだか冷えて疲れやすい」
それは、ホルモンの乱れだけでなく、“ミトコンドリアの不調”が背景にあるかもしれません。

今回は、女性ホルモンと細胞の発電所=ミトコンドリアの意外な関係について解説します。

 卵巣は“ミトコンドリア密集臓器”──エストロゲンとエネルギーの関係

卵巣は、エストロゲンなどの女性ホルモンを分泌する重要な器官ですが、
実はその卵胞細胞や卵子には、体内でもトップクラスのミトコンドリア密度があります。

なぜなら、
• 卵子の成熟
• ホルモン合成
• 月経サイクルの維持

にはATP(エネルギー通貨)が大量に必要だからです。

ミトコンドリアの数が減る、質が下がる、ATPが不足する──すると、ホルモンの分泌も不安定になり、月経不順や更年期症状が強く出るようになるのです。

ミトコンドリア→視床下部→ホルモンの司令塔に影響

ホルモンの司令塔は脳の視床下部と下垂体です。
この視床下部もまた、ミトコンドリアに大きく依存しているエネルギーセンター。
ミトコンドリア機能が低下すると、
• ホルモンのリズムが乱れる
• ストレス反応が過敏になる
• 睡眠と自律神経が崩れる
という「女性の不調トライアングル」が形成されます。

つまり、“卵巣と脳”をつなぐのもミトコンドリアなのです。

 NMNと亜鉛──更年期サポートのミト活戦略

更年期や月経トラブルに対し、Mito Rising で注目されるのが以下の栄養素です。

NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)

→ NAD⁺の前駆体としてミトコンドリア機能とサーチュイン遺伝子を活性化。
エストロゲンの分泌リズムや自律神経バランスを整える報告も。

亜鉛

→ 卵巣機能・ホルモン合成・免疫調整に不可欠。
現代女性はストレスや加工食品で“亜鉛不足”に陥りやすいため、Mito Rising的観点でも重要なミネラルです。

これらを組み合わせることで、
• ホルモンの波を安定化
• 気分のムラやPMS症状の緩和
• 疲労感や睡眠の質改善

など、多角的なサポートが可能になります。

まとめ──ホルモンを整えるカギは“細胞の中”にある

女性ホルモンの乱れに悩んでいる方は、外からの補充だけでなく、内側=“ミトコンドリアの再活性”を見直してみましょう。

Mito Risingは、単なるエネルギー強化ではなく、心と体のリズムを取り戻す自然な方法でもあるのです。

次回【第6回】は、
「ミトコンドリアは免疫の司令塔──SA-T細胞、CD153、炎症とATPの戦い」をお届けします。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。