ミトコンドリアとは何者か?
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- ミトコンドリアは、細胞内に存在する小器官で、ATP(アデノシン三リン酸)を生成する“細胞の発電所”です。これは細胞のエネルギー通貨であり、筋肉の収縮、脳機能、DNA修復、免疫反応など、あらゆる生命活動に不可欠です。
- また、ミトコンドリアはアポトーシス(プログラムされた細胞死)の中心的役割を持ちます。特に内因性経路では、シトクロムcの放出やBcl-2ファミリーの関与により細胞死プロセスが活性化されます。
なぜミトコンドリアがないと生きられないのか?
- 圧倒的なエネルギー効率 グルコース1分子につき、ミトコンドリアを使う好気呼吸では約36 ATP生成に対し、嫌気性(ミト無し)の場合はわずか2 ATPしか得られません。この効率差こそ、多細胞で複雑な生命が進化した鍵です。
- 細胞内共生説:起源は別の生物だった ミトコンドリアは20億年以上前に好気性バクテリアが原始真核生物に取り込まれ共生した結果とされます。次の証拠があります:
- 大きさと分裂:バクテリアと同様にサイズが小さく、二分裂で自己複製する。
- 独自のDNAとリボソーム:ミトコンドリアには環状DNAとバクテリアに近いリボソームが残されています。
- タンパク質輸送機構:膜を通じてタンパク質を輸送するシステム(TIM/TOM複合体)は、バクテリア的機構の進化形態。これらによって多細胞生命の発展がパワフルに後押しされました。
現代医療とのつながり
- ミトコンドリア機能異常は、がん、神経変性疾患(パーキンソン病やアルツハイマーなど)、老化、代謝疾患と深く関係しています。
- ミトコンドリアはROS(活性酸素種)も産生し、その調整失敗によって細胞損傷が起こり、がん抑制や疾患進行の原因にもなります。