Director's blog
院長日記

免疫細胞とミトコンドリア②

武本 重毅

Mitochondrial ROSと自然免疫の関係

ミトコンドリア由来の活性酸素種(ROS)は、

自然免疫における重要な「信号」として働き、

病原体への応答、サイトカインの誘導、炎症の制御に深く関与しています。

以下に主要な研究の知見をまとめます。

1. 病原体の直接攻撃:mtROSは細菌やウイルスの構造を酸化的に損傷させる。
2. 炎症シグナルの促進:NF-κBやインターフェロン関連経路を活性化。
3. インフラマソーム活性化:NLRP3インフラマソームの活性にmtROSが必要。
4. 免疫応答のフィードバック制御:過剰な炎症抑制にmtROSが働くケースもある。

このように、ミトコンドリア由来のROSは、

自然免疫において病原体排除とシグナル制御の両方を担う重要な役者です。

特に、インターフェロン誘導、インフラマソーム活性化、ウイルス感染制御など、幅広い免疫応答で必須の役割を果たします。

その産生レベルとタイミングの適切な制御が、効果的な免疫応答と過剰炎症の回避の鍵となります。

 

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。