「5-ALAがなぜ脳に効くのか?」
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NMN, 活性酸素, 認知症, ミトコンドリア, 5-ALA, 老化は「治る」, アンチエイジング3本の矢, ATP, ミトコンドリアから読み解く老化と再生
5-ALAは「脳の火力」を高める分子である
脳はミトコンドリアの働きなしには機能しません。
私たちの神経細胞は、ミトコンドリアを通じてATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー通貨を合成し、
そのエネルギーを使って記憶、思考、感情、運動制御などを行っています。
ところが、加齢とともにミトコンドリアの“発電能力”は低下し、
ATP不足や酸化ストレスが引き金となって、脳機能の衰えや認知症リスクが高まります。
そこで登場するのが、5-ALA(5-アミノレブリン酸)です。
この天然アミノ酸は、脳内ミトコンドリアの“火力”を直接高める鍵となる分子です。
5-ALAはヘム合成の出発点
5-ALAは、体内でヘム(heme)という鉄を含む化合物に変換されます。
このヘムは、ミトコンドリア内の電子伝達系(特に複合体III・IV)において必須の構成要素です。
つまり、5-ALAはミトコンドリアの電子の流れ=エネルギー生産効率そのものを高める“導線”なのです。
加齢やストレス、栄養不良などによって5-ALAやヘムの合成が減少すると、
脳内ミトコンドリアの出力は著しく低下し、「思考が鈍くなる」「集中力が続かない」といった症状に繋がります。
神経細胞のエネルギーを底上げする
近年の研究では、5-ALAを補充することで以下のような神経系へのポジティブな効果が報告されています。
効果 メカニズム
ATP産生の増加 電子伝達系が効率化し、エネルギー産生能力が上昇
抗酸化作用の間接的促進 酸化還元バランスが改善され、ROSの影響が抑えられる
脳細胞の代謝支援 神経細胞のエネルギー不足を予防し、加齢性機能低下を抑制
特に高齢者や慢性疾患のある方では、5-ALAの体内合成量が低下しており、外部からの補充が有効とされます。
認知機能や集中力への効果
日本やヨーロッパで行われた臨床研究では、5-ALAを含むサプリメントを高齢者に数週間投与することで、
- 注意力や集中力の向上
- 睡眠の質の改善
- 疲労感の軽減
など、脳の活性度が高まったという報告が複数あります。
また、がんや糖尿病といったミトコンドリア機能障害を伴う病態においても、
5-ALAは代謝の底上げに寄与し、全身状態だけでなく中枢神経機能の維持にも貢献しています。
NMNとの相乗効果:「燃料」と「回路」の両方に効く
NMNがNAD⁺レベルを高めてミトコンドリアの代謝回路(酵素反応)を活性化する一方で、 5-ALAは電子の流れ=出力段階を高めます。
この“回路と燃料のダブル強化”こそが、脳の老化を本質的に防ぐ統合戦略です。
次のセクションでは、これに加えてリチウムがどのようにミトコンドリアの恒常性と 神経細胞の安定化に働きかけるのかを見ていきましょう。