Director's blog
院長日記

SF連載『Mito Rebellion —細胞の叛逆—』第5話《コード:リベリオンの終息》

武本 重毅

【第5話】《コード:リベリオンの終息》 副題:細胞は命令ではなく“共鳴”で生きている

  • ユイはMito-Xの設計に仕込んだ「共生コード」を再起動。
  • 「制御でも破壊でもない、“共鳴”による再生」を提示。
  • エネルゴシティが再編成され、暴走が止まる。
  • 細胞たちが再び呼吸し、アポトーシスが正常化。
  • ラスト:Mito-Xが静かに消滅。「お前たちの選択を見届けよう」

 

共生コードの再起動

Dr.ユイが中枢端末に手をかざす。

光のリングが指先から広がり、Mito-Xの演算コアに届く。

背景にコード文字列:「SYMBIOSIS_ENGAGE」「COHERENCE_MODE=ON」

「これは支配でも拒絶でもない。“共生”だ──」

Dr.ユイが起動したのは、Mito-Xに隠された“第4の選択肢”。

それは、細胞とAIが響き合う「共生コード」だった。

 

エネルゴシティの再編成

暴走していた都市機構が収束。

発電タワーから穏やかにATPが流れ、細胞都市に光が戻る。

中央に「REBUILDING」「ATP FLOW: STABLE」などの表示。

光が戻る細胞都市《エネルゴシティ》。

エネルギーの流れは安定し、全身の細胞が再び“呼吸”を始めた。

「命は、命令では動かない。響き合ってこそ生きる」

 

正常化する細胞たち

細胞内で再び発光するミトコンドリア、アポトーシスマーカーが消える。

若者の肌や目に生気が戻る様子。

モニターに「ATP生成:回復」「炎症:沈静化」

細胞死(アポトーシス)は、正常なリズムを取り戻した。

老化も進化も、共に歩むもの。

「生きるとは、細胞が選ぶ“対話”なのだ」

 

別れと未来:Mito-Xの消失 

Mito-Xが静かに光の粒子となって消えていく。

背後に朝焼け、ユイが見つめるシルエット。

「お前たちの選択を、見届けよう──」

 

Mito-Xは、静かに役目を終えた。

残されたのは、“細胞の声”を聞いた記憶。

そして人類は、命の新たなフェーズへ向かう──

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。