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院長日記

体内酵素とミトコンドリア──あなたの“元気の工場”の仕組み

武本 重毅

カテゴリー: 

「最近疲れやすい」

「朝がだるい」

「肌のハリがなくなった」

そんな不調を感じるとき、体の中では“エネルギー工場”の働きが落ちているかもしれません。

その主役こそが「ミトコンドリア」と「体内酵素」です。

この2つは、まるで工場と職人のように連携し、私たちの生命を支えています。

 

酵素とは、生命を動かす職人

酵素とは、体の中で起こる化学反応をスムーズに進める“触媒”です。

私たちが食べたものを分解したり、エネルギーに変えたり、傷ついた細胞を修復したり――

これらすべては酵素の働きなしには成り立ちません。

酵素は大きく2つのグループに分かれます。

1つは「消化酵素」──口や胃、腸で食べ物を分解する役割。

もう1つは「代謝酵素」──体の中で新しい細胞を作ったり、エネルギーを生み出したりする役割。

この代謝酵素こそが、ミトコンドリアの中で大活躍しているのです。

 

ミトコンドリアはエネルギー工場

私たちの全身の細胞の中には、数百〜数千個のミトコンドリアが存在します。

この小さな器官が、呼吸で得た酸素と栄養素を使い、「ATP」というエネルギーを作り出します。

このATPこそが、心臓を動かし、脳を働かせ、筋肉を動かす“生命の通貨”です。

ミトコンドリアの中では、クエン酸回路(TCAサイクル)や電子伝達系という化学反応が連続的に起こっています。

ここで酵素が働き、糖や脂肪、アミノ酸を燃やしてエネルギーを生み出すのです。

まさに酵素は工場の職人ミトコンドリアはその職場といえるでしょう。

 

酵素の元気が落ちると、体の火力が下がる

ところが、年齢とともにこの酵素とミトコンドリアの働きは徐々に低下していきます。

原因はさまざまです。

  • タンパク質やビタミンB群など、酵素の材料不足
  • ストレスや睡眠不足による活性酸素の増加
  • 加齢によるDNA損傷やミトコンドリアの変形

こうして“職人”も“工場”も疲弊し、エネルギー生産が追いつかなくなると、

疲れやすくなったり、冷え、代謝低下、免疫力の低下などが現れます。

 

これはまさに「細胞レベルの老化」が始まっているサインです。

 

酵素とミトコンドリアを元気にする生活

では、どうすれば体内の“エネルギー職人”を再び元気にできるのでしょうか?

ポイントは、「酵素が働きやすい環境を整える」ことです。

具体的には以下のような習慣が鍵を握ります。 

❶ タンパク質・ビタミンB群・ミネラルをしっかり摂る

酵素はタンパク質でできており、補酵素としてビタミンやミネラルを必要とします。

肉や魚、卵、大豆、ナッツ、野菜をバランスよく。 

❷ 腸内環境を整える

腸で栄養がしっかり吸収されなければ、酵素の材料が不足します。

発酵食品や食物繊維を意識的に摂りましょう。 

❸ 酸化ストレスを減らす

ストレス・喫煙・過度な飲酒は酵素を破壊します。

抗酸化作用のある食材(緑黄色野菜、ベリー類、緑茶など)や水素吸入なども有効です。 

❹ ミトコンドリアを“再起動”させる

近年注目されているのが、「NMN」「5-ALA」「水素」といった分子。

これらはミトコンドリア酵素群を活性化し、エネルギー代謝を底上げします。

つまり、“酵素が働く土台”を整える力を持っているのです。

 

酵素とミトコンドリアは「生命の二重奏」

酵素が働くからミトコンドリアが動き、ミトコンドリアが元気だから酵素が活躍できる。

この二重奏が、あなたの「若さ」と「健康」を支えています。

疲れが抜けないときや、老化を感じるとき、

それは単なる年齢のせいではなく、体の中の職人と工場の連携が乱れているサインかもしれません。

まずは食事・睡眠・ストレスケアを見直し、体の中の“職人”たちをいたわってみてください。

酵素とミトコンドリアが再び息を吹き返すと、細胞が光を取り戻したように、

心も体も軽くなるはずです。

 

Dr. Shiggekkyより

命は、酸化と還元の狭間で輝く。

酵素とミトコンドリアのハーモニーが整えば、老化は“緩やかに治る”方向へ向かう。

それが「アンチエイジング3本の矢®」の真髄です。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。