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クリニックからのお知らせ
男性ホルモン療法と「ホットフラッシュ」
つらいほてりは治療できます。
前立腺がんの治療には、男性ホルモンを抑える「ホルモン療法(ADT)」が行われます。
この治療は進行がんを抑える非常に重要な方法ですが、副作用として強いほてり(ホットフラッシュ)が出現することがあります。実際、治療中の患者さんの約6〜8割が経験すると言われ、顔や上半身のほてり、突然の発汗、動悸、不安、不眠につながり、日常生活や睡眠の質を大きく損なうことがあります。
治療方法として抗うつ薬や漢方薬、ホルモン剤などが用いられることがありますが、効果は一定ではなく、副作用のため継続が難しい例も少なくありません。
そこで近年注目されているのが、ガバペンチン(Gabapentin)という薬剤です。本来はてんかんや神経痛に使われる薬ですが、アメリカ臨床腫瘍学会(ASCO2007)で、前立腺がん治療中の男性223名を対象としたランダム化二重盲検試験において、最大46%のホットフラッシュ改善効果が報告されました。
さらに国内でも、前立腺がん患者で長期間続いていた重度のホットフラッシュに対し、ガバペンチンを漸増しながら使用したところ、わずか数週間でほぼ消失し、症状が再発しなかったという症例報告もあります。
副作用として眠気やふらつきが出る場合がありますが、少量から始めて調整することで多くの方が安全に使用できます。
ホットフラッシュは「仕方がないもの」ではありません。
適切な治療により、睡眠や生活の質は大きく改善されます。
つらいほてりや発汗に悩まれている方は、どうぞ遠慮なくご相談ください。

