アトピー性皮膚炎に関する連載コラム②
なぜアトピー性皮膚炎は「体質改善」が必要なのか?
― 繰り返す炎症の“本当の原因”に目を向ける ―
アトピー性皮膚炎の治療というと、
多くの方がまず思い浮かべるのは、
- ステロイド外用薬
- 保湿剤
- 抗アレルギー薬
といった「症状を抑える治療」ではないでしょうか。
これらは、正しく使えばとても大切な治療です。
しかし同時に、こんな疑問を持つ方も少なくありません。
「なぜ、良くなってもまた悪くなるの?」
「一生、薬を塗り続けないといけないの?」
この疑問に答える鍵が、
「体質改善」という考え方です。
アトピーは「皮膚だけの病気」ではない
現在、アトピー性皮膚炎は
皮膚バリアの弱さ × 免疫の過剰反応 × 慢性炎症
が重なって起こる
全身性の慢性炎症疾患と考えられています。
つまり、
- 皮膚に症状は出ているけれど
- 問題の多くは「体の中」にある
という病気なのです。
なぜ炎症は何度もぶり返すのか?
アトピーが再燃しやすい理由は、
炎症の“火種”が体内に残ったままだからです。
具体的には、
- 活性酸素による慢性的な細胞ダメージ
- 免疫細胞の疲弊と暴走
- 皮膚を再生するエネルギー不足
といった状態が続いています。
この状態で、
外から薬で炎症を抑えても、
火は消えても、燃えやすい体質は変わっていない
その結果、
ストレス・季節変化・睡眠不足などをきっかけに
再び炎症が起こってしまうのです。
「体質改善」とは何を変えること?
当院が考える体質改善とは、
精神論や根性論ではありません。
細胞レベルで、次の3つを立て直すことです。
① 炎症が起きにくい体内環境
慢性炎症の背景には、
過剰な酸化ストレスがあります。
これを放置すると、
- 皮膚は壊れやすく
- 免疫は過剰に反応し
- かゆみは長引く
という悪循環に陥ります。
② 免疫の「調整力」
アトピーでは、
免疫が「弱い」のではなく
「反応しすぎる」状態になっています。
本来、免疫には
- 反応する力
- 抑える力
の両方が必要ですが、
アトピーではこのバランスが崩れています。
体質改善とは、
免疫を抑え込むことではなく、
落ち着いて判断できる状態に戻すことです。
③ 皮膚を作り直すエネルギー
皮膚は、毎日生まれ変わっています。
しかしアトピーでは、
- エネルギー不足
- 再生力低下
により、
「治っても、またすぐ壊れる皮膚」
になりがちです。
ここを支えるには、
体の内側からのエネルギー供給が不可欠です。
だから「体質改善」が必要になる
アトピー治療を
「症状を抑える治療」だけで続けると、
- 良くなる
- 悪くなる
- また良くなる
という終わりのないループに入ってしまいます。
一方で、
- 炎症を静め
- 免疫を整え
- 皮膚の再生力を高める
という体質改善を並行すると、
「戻りにくい状態」を目指すことができます。
当院の治療スタンス
当院では、
- 薬を否定しません
- 標準治療を大切にします
そのうえで、
「なぜこの方は、繰り返してしまうのか?」
という視点を常に持ち、
体内環境の改善にも取り組みます。
水素、NMN、5-ALAといったアプローチは、
そのための選択肢の一部です。
最後に
アトピー性皮膚炎は、
「うまく付き合えば安定させられる病気」です。
そしてその鍵は、
症状だけでなく、体質を見ること
にあります。
「もう少し根本から整えたい」
そう感じている方は、
どうぞお気軽にご相談ください。
✦ 監修
聚楽内科クリニック
院長 武本 重毅
アンチエイジング3本の矢® 提唱者

