Director's blog
院長日記

「どうせ最後は同じ」は本当でしょうか?

武本 重毅

カテゴリー: 

― 老いと健康にまつわる、大きな誤解 ―

「どうせ年を取れば、何かの病気になる」

「だったら、今を好きに生きた方がいい」

そんな考え方を、どこかで聞いたことはありませんか?

たしかに、

お酒を飲み、タバコを吸い、好きなものを食べて

“今を楽しむ生き方”は魅力的に見えるかもしれません。

でも、ここに大きな落とし穴があります。

問題は「いつ死ぬか」ではありません

多くの人は、

「不健康な生活=突然死」をイメージします。

けれど現実は違います。

現代医療は、

命を救う力は非常に強くなりました

一方で、

長年の不摂生が体に残したダメージを、完全に消す力はまだありません。

その結果、何が起こるか。

👉 死なずに、長く苦しむ

という状態です。

  • 呼吸が苦しい

  • 常に疲れている

  • 関節が痛く、動けない

  • 介助が必要な生活が何十年も続く

これは決して珍しいことではありません。

本当に大切なのは「最終着陸までの時間」

人生は飛行機に例えられます。

  • 問題なのは「いつ着陸するか」ではなく

  • どれだけ長く、揺れながら旋回し続けるか

不健康な生活習慣の最大の問題は、

突然死ではなく、

生活の質(QOL)が低い時間が何十年も続くことなのです。

「健康法が多すぎて、何を信じればいいか分からない」

そう感じる方も多いでしょう。

  • 脂質はダメ? でもオメガ3は良い?

  • 赤ワインは体に良い? でも飲みすぎはダメ?

  • サプリは必要? それとも不要?

情報があふれすぎて、

結局、何もしないという選択に陥りがちです。

でも、安心してください。

寿命を左右する要因は、実はとてもシンプルです

1930年代から続く、

非常に有名な長期研究があります。

この研究が示したのは、

寿命と老後の健康を左右する要因は、ごく少数だということです。

50歳までに大切な7つの要因

  1. 喫煙しない

  2. アルコールを乱用しない

  3. 定期的に体を動かす

  4. 体重を適正に保つ

  5. 安定した人間関係(結婚など)

  6. 教育を受けている

  7. ストレスへの対処力がある

これらは、

70歳以降の健康状態をよく予測できるとされています。

50歳を過ぎていても、遅くありません

「もう手遅れでは?」

そう思う必要はありません。

  • 運動を始める

  • 体重を少し落とす

  • 飲酒を控える

それだけでも、

体は確実に反応します

実際、

  • 運動

  • 禁煙

  • 節度ある飲酒

  • 地中海食(野菜・果物・魚・オリーブオイル中心)

この4つを守った70歳以上の人は、

10年間の死亡リスクが約60%も低下したという研究結果があります。

「遺伝だから仕方ない」は本当?

確かに、

遺伝は健康に影響します。

でも、

遺伝=運命ではありません。

  • 同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも

    運動習慣の有無で、

    細胞の老化スピードが大きく違うことが分かっています。

  • 運動している人の方が

    細胞の若さを示す指標が、約9年分若かったという報告もあります。

遺伝子は、

環境や行動によって「どう働くか」が変わるのです。

家系に病気があっても、希望はあります

たとえば、

  • 糖尿病

  • 認知症

  • 心臓病

これらは遺伝的要素があります。

しかし、

生活習慣の改善によって発症を防いだり、遅らせたりできることも、はっきり分かっています。

「なりやすい体質」と

「必ずなる運命」は、

まったく別物です。

運命を信じるより、「自分でつくる未来」を

私たちはつい、

  • 親と同じ年に死ぬのでは

  • 家系だから仕方ない

と考えてしまいます。

けれど、

人間の寿命を決める“スイッチ”は、DNAの中に存在しません。

遺伝子はカードを配るだけ。

どう切るかは、あなた次第です。

Dr. Shiggekky からのメッセージ

健康づくりは、

「長生きするため」だけではありません。

長く、つらくない人生を送るためのものです。

極端な健康法は必要ありません。

大切なのは、

  • 今日からできる

  • 続けられる

  • 現実的な選択

Dr. Shiggekky は、

「どうせ年を取るから」と諦める医療ではなく、

年を重ねるほど、楽になる医療を一緒に考えていきます。

運命を恐れるより、

自分で選び、育てる人生を始めてみませんか。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。