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院長日記

【第4回】 免疫は「犯人」ではなく「通報者」だった ― なぜ自己免疫が起きるのか ―

武本 重毅

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これまでのお話で、円形脱毛症では

ストレスや疲労によって、まず毛根の細胞が弱ってしまう

可能性があることをお伝えしてきました。

では、ここで一つ大切な問いがあります。

免疫は、本当に“悪者”なのでしょうか?

実は免疫は、本来とても忠実な「見張り役」です。

体の中で

  • 感染が起きた

  • 細胞が壊れた

  • 危険な異変が生じた

そうしたサインを察知して、

体を守るために動きます。

問題は、

壊れかけた細胞が出す“誤解されやすいサイン”です。

前回お話ししたように、

毛根の細胞がエネルギー不足に陥ると、

細胞の中の構造が乱れ、

本来は外に出ないはずの物質が漏れ出してしまいます。

免疫はこれを

「細菌やウイルスによる危険信号」と勘違いします。

すると免疫は、

「何か大変なことが起きている」

と判断し、現場に集まってきます。

この結果として、

毛根の周囲に炎症が起こり、髪が抜ける――

これが、円形脱毛症として

私たちが目にする姿です。

つまり、

免疫は最初から毛根を攻撃しようとしていたわけではありません。

壊れた細胞の“通報”に反応しているだけなのです。

ここが、とても重要なポイントです。

免疫を無理に抑えれば、

一時的に炎症は静まります。

しかし、

細胞の弱りやすさがそのままなら、

同じ通報が何度でも繰り返される
ことになります。

それが、

「治ったと思ったのに、また抜ける」

という再発の正体です。

次回は、

なぜ若い人でも発症し、

なぜ何度も繰り返すのか
――

その背景にある

“細胞の老化”という視点を解説します。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。