量より設計という医学
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医療や栄養の世界では、しばしば「多く摂るほど良い」という発想が先行します。
しかし臨床の現場で患者さんを診ていると、必ずしもそれが正解ではないことを痛感します。体は単なる足し算で動いているのではなく、流れと制御点をもつシステムだからです。
工学の世界には、レアメタルやレアアースという存在があります。ごく微量であっても、回路や素材の性質を大きく変え、全体の性能を引き出す。価値は「量」ではなく、「役割」によって決まります。
私はこの考え方が、そのまま生体にも当てはまると考えています。
NMNや5-ALAは、いわばレア栄養素です。大量に摂ることで力を発揮するというより、欠けたときにエネルギーの流れが滞る、重要な制御点に関わる存在です。だからこそ、闇雲に増やすのではなく、どこに、どの組み合わせで配置するかが重要になります。
老化とは、年齢そのものではなく、細胞のエネルギーシステムがうまく回らなくなる状態です。
その立て直しに必要なのは、「何をどれだけ足すか」ではなく、どう設計し直すか。
量より設計。
これは、私が臨床の中でたどり着いた、ひとつの医学的実感です。

