Director's blog
院長日記

“医療費や介護費をどう削るか”ではなく、 “どの時点で介入するか”という視点

武本 重毅

日本の医療・介護費が増大している背景には、高齢化だけでなく、
介入のタイミングが遅れているという構造的な問題があります。

老化や慢性疾患は、突然重症化するわけではありません。
長期間にわたる機能低下の蓄積の末、
ある時点で「可逆性」が失われ、不可逆的な段階に入ります。

この可逆性が失われた後に介入すると、
選択肢は限られ、医療費・介護費は急激に上昇します。
移植医療や高度医療は不可欠ですが、
制度としては最もコストの高いフェーズです。

一方、可逆性が残る段階では、
機能低下の進行を遅らせる選択肢が多く、
医療費だけでなく将来の介護費抑制にも直結します。

重要なのは、
移植医療や高度医療を否定することではありません。
そこに至る人数を、私たちの取り組みとして減らせるかという点です。

全世代型社会保障を実質化するためには、
高齢者対策としてではなく、
将来の高額医療・介護を回避する社会投資として、
介入時期を前倒しする発想が必要です。

「どこまで治すか」ではなく、
「いつ介入するか」

この視点転換が、
医療費・介護費の抑制と健康寿命延伸を
同時に実現する鍵になると考えています。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。