老人の国 The aged country
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有史始まって以来の高齢化社会
The most elderly society since the dawn of history
「老人の国」というキーワードで調べてみると、ネット上は、さまざまな意見が飛び交っています。高齢者は、若い人たちにとって、邪魔者扱いされているようなところがあるようです。これは来年に還暦を迎える私にとって、他人ごとではありません。
私は、これまで、特に21世紀になってから、若い人たちの邪魔をしないように生きてきたつもりです。よいポジションには競合せず、他の人が興味を示すことがないような仕事をメインに担当してきました。しかし、それでも私自身としては、それなりに世の中の役に立ってはいたはずと思ってはいるのですけれど...
それは、ちょうどパワハラやセクハラということが大きく取り上げられるようになった時期と一致するのかもしれません。少子高齢化が進む中で、女性の社会進出が後押しされ、ゆとり教育など子供達に対するストレス軽減策がおこなわれるようになった頃と前後します。またICT(情報通信技術)の急速な進歩により、これを使いこなすことができる若い世代側と、使うことができない高齢者側との間に、大きな開きが出てきました。それは仕事内容、発表内容、会話や意思表示、学びの方法など多くのことを、若い世代側が暮らしやすい方向に変化させてきたように思います。そして、その結果として、生活に関わる全てのことが、一般では高齢者のためといわれていますが、その多くは若い世代に迷惑をかけることがないように、そして若い世代の負担が増えないように考えられ、創造され続けています。それは、われわれが子供のときから漫画や映画に描かれていた未来都市、未来生活への扉を開くことになり、私としては期待でワクワクすることなのですが。
またこのことは、若い世代の生き方にも変化をもたらしたようです。ここ最近の例でいえば、土曜・日曜・休日のバイト仕事についての若い人たちの気持ちについて知る機会がありました。全国展開している、ある総合ディスカウントストア店舗の従業員たちと話してみると、バイトとしてはたらく学生たちの意識に変化がみられているといいます。以前の大学生は、土日に働いてお金を貯めようとがんばっていたが、最近の学生は大学生はもちろん高校生でも週末の自分の時間を大切にして過ごしたいらしく、求人しても人を集めるのが難しくなったそうです。ある意味、無理をしない生活、身近にある物で足りるような生活で満足し、将来のために頑張るのではなく今ある一日一日この時間を楽しむために生きるという人生観をもっているのではないでしょうか。あるいは、自分の教養や能力をさらに高めるために時間を有効活用しているというのも本当のようです。
このような社会の変化、若い人たちの生活を支えているのが、SNSなどの情報ネットワークであり、長く続く低金利によるデフレ社会でしょう。まず、情報ネットワークの重要性は、携帯やスマホを手放すことができなくなった最近の生活にあらわれています。ここ10年は次々にサービスを向上させ進化を続けるICT産業、人々はその便利さに驚嘆し、すぐに取り入れ、また新たなレベルへと生活を向上し続けています。もうわざわざCDショップ・DVDショップに出かけて行き、デパートの中をウロウロ歩き回る必要はなくなりました。気に入ったものは、自分が落ち着いていられる部屋の中で、販売員のセールストークに惑わされることもなく、値段をじっくりと吟味して、キャッシュレスで支払い、自宅まで届けてくれるようになりました。長く続くデフレのおかげで、安く食べることができるし、リサイクルを利用して比較的高価な製品を手にすることもできます。
今後の日本は、さらに変わっていくことでしょう。30年ほど前まで当たり前と考えられていた、日本人みな中流(の上)という生活感は今ではすっかりなくなってしまい、一部の富裕層とそれ以外にわかれてしまいました。富裕層以外が大多数を占めるわけですから、そう簡単にその生活を脅かすようなことにはならないと思いますが、これから訪れる未来社会の主役である若い世代の舵取りに期待してみてもよいのではないでしょうか。