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院長日記

教育に必要なこと(あくまで持論)

武本 重毅

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学校教育や社員教育など、人に教え人を育てるということは、教えられる(育てられる)側はもちろん教える(育てる)側にとっても大変なことであり、その過程において貴重な時間を過ごすことにもなります。これは終わることのない人が成長するための方法のひとつであり、自身で鍛錬し問題解決できるようになるレベルまで行き着くかどうかが重要です。

 

  • 情報収集

わたしが学生だった頃は両親や学校教師から教えられることが主流であり、それに参考書や百科事典などで得た知識を補うという方法でした。それが今や、もっと上手に教えてくれる塾の先生が試験問題の解き方をYouTubeで教えてくれるし、わからない単語や興味のあることがらについてもスマホで簡単に調べることができるようになりました。

ただ、その問題点として、得られた情報が本当に信頼できるものかどうか、確認する必要があります。以前は信頼できる両親や教師からの言葉を信じ、そして検定済みで出版された本を読んでいましたが、今ではあらゆる情報を発信でき、それを多くの人々が簡単に受け取ることができます。フェイクニュースなどに騙されないようにしましょう。その方法として、甘い話に乗らないし乗りかけても途中でやめる、成功話より失敗談を聞く、ということでしょうか。

 

  • 記憶法

記憶は脳の海馬という部分のはたらきによります。脳の発達は20歳まで、その後は衰えるといわれていますので、わたしの場合は筋肉と同様、学生時代に鍛えておいて、歳をとったら脳細胞によいサプリメントを摂取しながら、後述する他の能力で補うようにしています。

 

  • 問題解決力

どんなに優れた人間であっても騙されるし、失敗することがあります。その後の人生をどう生きるかは、その問題をどう解決するか、自分をどう変えることができるか、という自身の能力がモノをいいます。他人を頼ってもよいかもしれませんが、ほとんどの場合返って状況は悪くなるか、変わらなくても余計な物を背負い込むことなります。こればかりは人が教えてくれることではなく、自身で経験して(あるいは他人を観察して)学ぶことで力を身につけることになります。

 

  • コミュニケーション

自身だけで考えたり悩んだりしても、どうしようもないことがあります。外からの有益な情報を見過ごしたりして、公正な判断ができなかったりします。ですから、自分だけで物事を解決しようとするのではなく、第三者からの意見や情報を取り入れた上で行動すべきです。問題解決する際、良いアドバイスを得たり、知らなかった情報を得ることができたりと、少なくとも自身の行動や結論に変化を生むことを期待できます。異なる職種やちがう領域からの信頼できるメンバーとチームをつくることができれば理想的ですね。

 

  • 自己鍛錬(自習)

人生とは誰かに敷いてもらったレールの上をただ走り続け、レールが途切れたら脱線して終わりというものではありません。人生を歩むということは、結局は自分自身で、山あり谷ありの道のり(時間)を、自身の血(智)となり身(味)となるような経験を経て、成長し続けることに他ありません。そのためには、常に状況に応じた目標を設定し、それをクリアする方法を考え、達成するための努力を惜しまないようにして毎日・毎週・毎月・毎年を過ごしましょう。

 

人は誰も、結局は一人なのです。一人一人がそれぞれの人生を歩む、その生き方(力)が社会をつくり、国家をつくり、地球そして(極論ですが)宇宙の営みに影響を与えることになると思います。

 

教育とは、人間が一人でちゃんと生きていけるように、自身の人生を他人に依存せずに歩むことができるようにするために、自分を鍛える道具のようなものなのです。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。