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院長日記

グレープフルーツの話題その2:グレープフルーツが影響する薬

武本 重毅

カテゴリー: 

お薬とグレープフルーツジュースの関係

高血圧の薬にはさまざまな種類があり

このうちグレープフルーツジュースと一緒に飲んではいけないとされるのは

カルシウム拮抗薬と呼ばれるグループの薬です。カルシウム拮抗薬は主に、血管を広げて血圧を下げる働きをします。

 

この薬を服用している人がグレープフルーツジュースを飲むと

薬の効果が強く出すぎたり

心拍数が上がったり

頭痛

などの副作用が起こりやすくなることがあります。

 

これは、グレープフルーツジュースに含まれている

フラノクマリンなどの成分が

小腸で、薬が代謝される酵素を阻害するためです。

その結果、体に吸収される薬の量が増えて

薬の血中濃度が上昇し、必要以上に血圧が下がりすぎてしまいます。

 

一般的に、お薬は体内に入ると“代謝酵素”で分解されて

しだいに効き目を失っていきます。

その代謝酵素の働きを邪魔する成分である

フラノクマリンがグレープフルーツに含まれており

体内の代謝酵素である、シトクロムP450のCYP3A4を阻害します。

繰り返しになりますが

グレープフルーツジュースの成分が体内の代謝酵素の働きを邪魔すると

薬の分解を遅らせるため

薬の効き目が強くでてしまい

副作用が現れる可能性が高くなるというわけです。

 

さらにこの作用はグレープフルーツジュースを飲んだ日だけではなく

2~3日続く場合もあるといわれていますので

注意が必要です。

 

そのため

お薬によっては

グレープフルーツジュースと一緒に飲むことが禁止されているのです。

 

グレープフルーツジュースと飲み合わせが悪い薬の代表例は下記になります。

同じタイプのお薬でも、影響がないお薬も多くあります。

カルシウム拮抗薬(高血圧や狭心症等)

【影響の強さ:極めて強い】 影響あり

バイミカード(ニソルジピン)

スプレンジール(フェロジピン)

カルブロック(アゼルニジピン)

【影響の強さ:強い】 影響あり

アテレック(シルニジピン)

ペルジピン(ニカルジピン)

バイロテンシン(ニトレンジピン)

アダラート(ニフェジピン)

コニール(ベニジピン塩酸塩)

カルスロット(マニジピン)

【影響の強さ:やや強い】 影響あり

ワソラン(ベラパミル塩酸塩)

ランデル(エホニジピン塩酸塩エタノール付加物)

【影響の強さ:弱い】 影響なし

アムロジン、ノルバスク(アムロジピン)

ヘルベッサー(ジルチアゼム塩酸塩)

【影響の強さ:不明】 影響不明

サプレスタ(アラニジピン)

ニバジール(ニルバジピン)

ヒポカ(バルニジピン塩酸塩)

 

高脂血症治療薬(コレステロール値を下げる)

リピトール(アトルバスタチンカルシウム水和物)
リポバス(シンバスタチン)

 

不眠症治療薬(寝つきを良くする)

ハルシオン(トリアゾラム)

 

免疫抑制剤(免疫反応を抑える)

ネオーラル(シクロスポリン)
サンディミュン(シクロスポリン)
プログラフ(タクロリムス水和物)

 

フラノクマリン類は

グレープフルーツの果汁だけでなく

果肉や皮にも含まれていることがわかっていますので

ジュースだけではなく果肉そのものや、皮を使った加工品(マーマレードなど)にも注意が必要です。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。