老化は疾病-「老いなき世界(LIFE SPAN)」その16 :サーチュインの燃料となるNAD
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レスベラトロールの効果が明らかとなり
これを機に
レスベラトロールより何倍も効果が高いサーチュイン活性化化合物を探そうと
一斉に研究がスタートしました。
今では
レスベラトロールより強い作用の確認された
サーチュイン活性化合物は何百とあります。
NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)も、その一種です。
NADには
他のサーチュイン活性化化合物にはない利点があります。
7種類あるサーチュインすべての活動を高めてくれるのです。
NADは
アルコール発酵を促進する化学物質として
20世紀初頭に発見されました。
おかげでNADに関する研究は何十年も続けられ
1938年には1つの大発見に突き当たりました。
NADに
犬の黒舌病(人間で言うナイアシン欠乏症)を治す
効果が見つかったのです。
後に解明されたように
NADはナイアシン(ビタミンB3)から生成されます。
これがひどく欠乏すると
皮膚炎、下痢、認知症、皮膚のただれなどが生じ
放置すれば死に至ります。
しかも
NADは体内で500種余りの酵素に利用されているため
NADがなければ私たちは30秒と生きていられないのです。
そしてついに
1990年代になり、
NADが
数々の重要な生体プロセスを調節する上で
カギを握る物質だということが判明しました。
そのプロセスには
老化や病気も含まれます。
なぜそれがわかったかというと
NADがサーチュインの燃料になることを
今井眞一郎とレニー・ガレンティが突き止めたからです。
十分な量のNADが存在しなければ
サーチュインはうまく仕事ができません。
ヒストンからアセチル基も外せなければ
遺伝子も抑制できず
寿命も長くできません。
レスベラトロールがサーチュインを活性化させて寿命を延ばすせるのも
そのことに筆者たちが気がつくことができたのも
NADがあればこそだったのです。
また、NADの濃度が年齢とともに低下することもわかりました。
しかもその現象は
脳、血液、筋肉、免疫細胞、膵臓、皮膚など全身で見られ
微細な血管の内側を覆う内皮細胞でさえ例外ではありませんでした。