ミトコンドリアの機能回復を考える その①:活性酸素種の産生
私たちが呼吸している空気の中には21%の酸素が含まれています。
酸素はラジカルの一種ですが
特殊な分子構造をしているため他の物質と反応することほとんどありません。
しかし呼吸で肺から取り込まれて組織に運ばれた酸素は
生体内の穏やかな条件下で反応し易い不安定な形に変わることがあります。
この不安定な酸素種を活性酸素種 (Reactive Oxygen Species、略してROS)といいます。
活性酸素種は他の物質と反応して安定になろうとする性質があります。
そのため活性酸素種はタンパク質・脂質・核酸などと反応し
酸化して変性してしまうことがあるのです(酸化傷害)。
活性酸素種は酸素が母体ですから
大量に酸素を消費するミトコンドリアでは
必然的に活性酸素種を発生します。
実際に
ミトコンドリアでは生体内の酸素の90%以上が消費されるので
活性酸素種の大部分がミトコンドリア由来と考えられます。
ミトコンドリアの最も重要な機能は
その酸素を使って成長や生存のためのエネルギーATPを作ることです。
この過程で酸素の0.1-2%が活性酸素種に変わるのは避けられないことです。