認知症やパーキンソン病発症と腸内環境との関係:その①
最近よく言われるようになったのが
腸内環境の異常と消化管以外の疾患との関係です。
人間の腸の中には無数の「腸内細菌」がいます。
この細菌は人間が合成できない多様な物質を産生して
私たちの健康維持に大きく寄与する一方
細菌のバランスが崩れるとさまざまな病気に影響することが明らかになっています。
最近では糖尿病などの生活習慣病につながる肥満や高血糖と関連する腸内細菌の種類なども分かってきました。
認知症は、脳の神経細胞が変性することから起こる脳の病気ですが
日頃から脳細胞の壊死や障害を防ぐ生活を心がけることで
発症リスクをかなり低くすることができます。
そのカギとなっているのが、ほかならぬ「腸」なのです。
腸は別名「第2の脳」と呼ばれており
小腸の一部の細胞や大腸の細胞は、
神経を通じて脳と密に結びついています。
ですから
腸の炎症から生じる生活習慣病や精神的な不調、免疫力や血流の低下といったことは
すべて認知症の発症リスクを高める要因となるのです。
また、腸が不調だと細胞への栄養・水分の供給が滞りがちになり
ひいては脳細胞にも十分な栄養や水分が届かなくなります。
こうなると脳へのダメージにつながるのはいうまでもありません。
腸内細菌のなかでも、特に重要なのが善玉菌です。
この善玉菌が腸で十分に働くことによって健康の維持や改善につながるのはもちろん
脳の細胞も元気になり、認知症を予防することができるのです。
これは、腸内で脳の健康に必要な栄養素や神経伝達物質の素がつくられるからです。
具体的に説明すると
体内で合成できないビタミン群を腸内細菌は作り出してくれます。
その種類は、ビタミンB1、B2、B6、B12、K(脂溶性ビタミン)、パントテン酸、葉酸と豊富です。
なかでもビタミンB6とB12が脳の萎縮を遅らせるとの報告や
ビタミンB群と葉酸が中高年のうつ症状の改善に効くといった研究報告が海外から寄せられています。
特に脳の萎縮は認知症の大きな要因となります。
そして、老年性うつは認知症へ進行していくリスクがあるとされています。
このように
腸の状態がよければ健康を維持することができ
老化を防ぐことにもつながります。
腸が元気なら脳を元気にすることにつながり
認知症予防にも有効なのです。
私たちのクリニックでは
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)点滴治療によりサーチュイン酵素を介して
細胞レベル・エピゲノムレベル・ミトコンドリアレベルで修復し
水素ガス吸入療法で活性酸素種を不活化し
そしてヒト間葉系幹細胞培養上清療法で免疫異常を抑え、腸内環境を整え、神経細胞を修復することで
認知症、パーキンソン病など脳神経障害に対する効果を期待することができます。