水素吸入療法の力 その⑦:ヒト研究における有効性(呼吸器疾患)
世界の主な死亡原因を挙げると、呼吸器疾患は3位にランクされていますが、依然として新しい医薬品による解決策が必要です。
ヘリウムと酸素の混合ガスは、従来の窒素酸素混合物と比較して密度が低く、粘度が高く、気道抵抗が低いため、閉塞性肺疾患の治療に何十年も使用されてきました。
酸素と水素の混合物を使用すると、水素(H2)の治療的抗酸化作用に加えて、ヘリウムと酸素の混合ガスと同様の効果が得られます。
2020年に、H2含有ガス吸入の急性効果を調べた研究で、
喘息およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者の炎症状態が治療によって緩和されることがわかりました。
この試験には、20人の喘息およびCOPD患者が含まれ、2.4%のH2含有蒸気混合ガスを45分間1回吸入しました。
この治療により、COPD患者と喘息患者の双方で、
単球走化性促進因子(MCP-1)、IL-4、IL-6などの炎症マーカーのレベルが大幅に低下しました。
2021年には、H2:O2療法またはO2療法を受けたCOPDの急性増悪患者108人を対象に、より大規模な臨床試験が実施されました。
その結果、H2:O2群で症状が著しく改善し、特定の検査スコアで有意な結果が得られたことがわかり、
COPDがH2療法の興味深い適応症であることが示されました。
肯定的な知見にもかかわらず、喘息に対しては、H2療法のより広範な研究結果が明らかになっていません。
2018年の別の臨床研究では、急性重度気管狭窄患者におけるH2吸入の有効性と安全性を評価しました。
35人の患者に、2段階の連続した投与15分と120分(6 L/分)のH2:O2ガス混合物(2:1)を行いました。
横隔膜筋電図(EMGdi)などで評価した吸気努力を含む、バイタルサインを除くすべての測定されたエンドポイントパラメータが、H2吸入後に改善しました。
これらの臨床研究は、H2吸入が呼吸器疾患の有望な治療選択肢であることを示しています。
H2吸入は、病変組織を標的とし、呼吸器疾患患者は治療用呼吸器を使用することが多いため、利便性の面でも適切な投与方法です。
さらに、H2の吸入は、COVID-19感染患者の呼吸器症状の治療にもテストされており、非常に有望な結果が得られています。