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院長日記

水素吸入療法の力 その⑨:ヒト研究における有効性(パーキンソン病)

武本 重毅

ある試験では、パーキンソン病患者20名を対象に水素(H2)吸入を試験しました。

空気中の約1.3%の低用量H2またはプラセボを1日2回10分間4週間吸入しましたが、有益な効果は得られませんでした。

しかし、8-ヒドロキシ-2′-デオキシグアノシン (8-OHdG、細胞酸化ストレスの指標) の増加やその他の報告されたストレス反応という別の興味深い知見は、

H2療法の有益な効果が部分的にまたは大部分、ホルミシス機構(運動など適度な酸化ストレスよる有益な作用)によって媒介されていることを示唆しています。

178人の患者を72週間にわたって追跡した同様のより大規模な研究では、パーキンソン病患者に対する経口H2摂取 (1 L/日) による病気の改善は明らかにされませんでした。

この大規模なパーキンソン病研究ではH2療法の有益な効果は認められませんでしたが、

併用療法によりさらなる利点が示される可能性があります。

パーキンソン病患者18名を対象としたパイロットスタディでは、

2週間にわたり毎日H2飽和水を飲むこととフォトバイオモジュレーション(PBM)を組み合わせた治療を行った後、

ベースラインと比較してパーキンソン病統一スケール(UPDRS)総合スコアが大幅に改善したことがわかりました。

この報告書では、この肯定的な効果は

「脳幹を標的としたPBMがニューロン活動を促進し、同時に摂取したH2がPBMによって生成され増加した活性酸素種(ROS)を除去する可能性がある」

ためであるとしています。

2013年に実施された、レボドパ治療を受けたパーキンソン病患者18名を対象としたランダム化二重盲検パイロットスタディでは、

48週間毎日H2水1リットルを飲むとUPDRSスコアが大幅に改善したことが示されました。

しかし、この改善は、がん治療で観察されるように、併用した他の薬剤の副作用が緩和されたためである可能性もあります。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。