水素吸入療法の力 その14:ヒト研究における有効性(白内障手術と血液透析)
透析や眼からの投与など、他の投与形態での水素(H2)濃縮溶液の効果については、いくつかの特殊な研究が行われています。
ある研究では、視力回復のための白内障手術(超音波乳化吸引術)中にH2溶液を使用すると有意な効果があることが実証されました。
この処置では、使用する超音波が生成するフリーラジカルを、H2濃縮溶液で中和できる可能性があります。
両眼に白内障がある32人の患者が、片方の目には従来の方法で、もう一方の目にはH2濃縮溶液を使用して治療を受けました。
主要評価項目である内皮細胞密度の減少率は、測定したすべての時点でH2群の方が有意に小さかったようです。
また、慢性炎症の状態が続いている血液透析患者の予後は不良であり、その治療法は限られています。
そのため、これらの患者の透析液にH2の抗炎症作用を利用することができます。
2010年と2018年に発表された同じ研究グループによる2つの研究では、
水の電気分解から得たH2を使用したH2注入透析液の血液透析患者の治療への影響を調査しました。
2010年の研究では、21人の患者が6か月間 H2濃縮透析液に切り替えられ、
試験期間前と比較して収縮期血圧が大幅に低下しました。
血漿炎症マーカーの有意な低下も確認されました。
2018年の研究はより長期で、3.3年の観察期間にわたって、
それぞれH2濃縮透析液と従来の透析液を投与された161人と148人の患者という、より大規模な試験でした。
H2を豊富に含む透析液を用いる治療が、
透析後高血圧の改善し、
H2を豊富に含む透析液が、多変量解析により、全死亡率と非致死性心脳血管イベント発症といった複合主要評価項目の独立した重要な因子であることが明らかになりました。
両方の研究で、H2は透析パラメータに最小限の変化しか引き起こしませんでしたが、
血圧コントロールの改善や炎症反応の緩和などの肯定的な結果から、慢性血液透析患者の予後を改善する可能性があります。