水素吸入療法 その10:水素の疾病予防や治療への扉が開いた
まず、水素が注目されるようになったきっかけについて、お話しします。
長い間、水素分子(H2)は不活性で、哺乳類細胞内では機能を持ちえない分子と考えられてきました。
それは何故かと言いますと、ヒドロゲナーゼという水素を利用するための酵素を持っていないからです。
ところが、その従来の概念は、2007年、太田茂男先生の研究グループにより覆されました。
先生たちは、水素が細胞中ではヒドロキシルラジカル(·OH)のような酸化力の強い物質を消去することを示したからです。
そして,水素が疾病予防や治療に応用しうることを提唱しました。
水素は自然界では無色無臭の最小分子です。
水素ガス吸入療法により、水素は肺胞を通って血液中に急速に拡散し、体全体を循環します。
次に、水素は細胞膜を迅速に透過し、細胞質、核、およびその他の細胞小器官に分散して生物学的役割を果たすことができます。
さらに水素は血液脳関門を通過します。
穏やかなガスの一種であり、これまでのところ水素による人体への細胞毒性は報告されていません。
また、水素は、体温、血圧、pH、血中酸素濃度などの生理機能に直接影響を与えません。
水素はミトコンドリアの中に入りヒドロキシルラジカルを消去できる唯一の物質です。