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院長日記

水素吸入療法 その11:水素療法の臨床研究ならびに科学論文数の増加

武本 重毅

この15年あまりが経過して、さらに多くのことがわかってきました。

水素は、遺伝子の発現を制御することで抗酸化作用を示す上、抗炎症作用抗アレルギー作用抗アポトーシス作用を示し、さらにエネルギー代謝を活性化させます。

実験動物モデルで得られたエビデンスが蓄積していることに加え、広範な臨床試験が実施され、現在も実施中です。

この水素を用いる治療法については、すでに2000を超える科学論文がパブリッシュされています。

従来の医薬品の多くが標的に特異的に作用するのですが、下図(2月3日の院長日記)でお示ししましたように、水素は従来の医薬品とは全く異なる概念を持っているのです。

下の右側のグラフには、2010年以降ヒトにおける水素療法に関する科学論文および臨床試験の数が、出版年および臨床試験の最初公表日として示されています。

臨床試験の数は、2011 年の 1 件に始まり、2015 年に 5 件、2016 年に 10 件、2019 年に 12 件が登録され、2020 ~ 2023 年の期間には毎年 6 件から10 件に増加しています。

科学論文数は同じ傾向には従っておらず、

2012 ~ 2022 年の期間 (2023 年 8 月までのデータのみ) では平均で年間約 5 件、2019 年には最大 11 件の出版がありました。

2019 ~ 2020 年の論文数増加は、2016 年に開始された臨床試験の数が多いことと、COVID-19 研究における水素療法への関心が急激に高まったことで説明できるかもしれません。

2019 年から 2023 年にかけて登録された臨床試験の数が多いので、近い将来に科学論文数も増加することでしょう。

Author:

武本 重毅

聚楽内科クリニックの院長、医学博士。