(新)エクソソーム情報
まず「細胞外小胞」とは、「細胞から自然に分泌され、脂質二重層で囲まれ、複製できない、つまり機能的な核を持たない粒子の総称」です。
その形成過程による分類(性質や大きさにおいてオーバーラップすることが多い)
- エンドソーム由来の「エクソソーム」
- 形質膜由来の「マイクロべシクル(エクトソーム)」
- 死細胞の膜由来の「アポトーシス小胞(小体)」など
細胞外小胞の機能
中に含まれるタンパク質やRNAなどの分子に依存します。
間葉系幹細胞由来の細胞外小胞の場合
- 血管新生促進
- コラーゲン沈着促進
- 抗炎症性(miRNAが含まれる)
すなわち組織修復や炎症抑制への医療応用、さらに多能性幹細胞から分化途上にある細胞が、それぞれの分化段階・速度を同調させる現象
免疫系における細胞外小胞の場合
- 免疫細胞間での抗原情報の交換
- 免疫細胞の分化・選別
すなわち、様々な免疫機能の制御
がん患者の樹状細胞から分泌された細胞外小胞の場合
- がん細胞特異的なT細胞の強い活性化(様々ながん細胞由来抗原が含まれる)
がん細胞から分泌される細胞外小胞の場合
- 血管新生や転移を促進
- がん細胞を攻撃するT細胞の活性化を強力に抑制(PDL1の発現)
すなわち、がんの進展に適した微小環境の構築
細胞ストレス下の障害肝細胞から分泌される細胞外小胞の場合
- マクロファージや肝星細胞・内皮細胞などを活性化
すなわち、肝の線維化や炎症の促進
神経細胞が分泌する細胞外小胞の場合
- アミロイドβやタウ、αシヌクレイン、TDP-43などを分泌
すなわち、アルツハイマー病やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など神経変性疾患発症に関連
ウイルスに乗っ取られた細胞外小胞の場合
- その分泌量や性質が変化
すなわち、ウイルスの増殖や免疫逃避など非感染細胞へのシグナル伝達を制御